目次
◆第2章 第64節による心得
●原文引用
「愛憎(あいぞう)を離れた、自己の支配下にある感官により対象に向いつつ、自己を制した人は平安に達する。」(第2章 第64節)
●逐語訳
- 愛憎を離れた:好ましい・嫌だという感情の偏りを手放し、
- 自己の支配下にある感官により:制御された感覚器官を通して、
- 対象に向いつつ:現実の対象(仕事・人・環境)に関わりながら、
- 自己を制した人は平安に達する:自分自身を制御できている人は、内なる平安に至る。
●用語解説
- 愛憎(ラーガ・ドヴェーシャ):好き嫌い。欲望や嫌悪の二極的感情。
- 感官:視覚・聴覚・嗅覚など、外部情報の入口。
- 自己を制した人:衝動に流されず、自律的に行動できる人。
- 平安(シャーンティ):心の安定、内なる静けさ。
●全体現代語訳
好悪(こうお)の感情に振り回されず、自らコントロールされた五感で物事に向き合い、自己を律した人は、真の平穏に至る。
●解釈と現代的意義
「外界を遮断すること」ではなく、「関わりながら動じない」ことが本当の制御です。
これは、ビジネスにおける「冷静な現場対応」「動じないマネジメント」に直結します。感情を捨て去るのではなく、それに支配されない状態を目指すべきです。
●ビジネスへの応用
ビジネス状況 | 応用ポイント |
---|---|
部下や顧客への対応 | 好悪感情で判断せず、事実と目的に基づいた行動を取る。 |
怒り・苛立ちとの距離 | 感情を自覚しながらも、それに支配されず対応する。 |
大量の業務・刺激 | 感覚や反応を自己コントロールし、冷静に順序立てて対処する。 |
●ビジネス心得タイトル
「好悪を越えてこそ、平安の判断が生まれる」
◆第2章 第65節による心得
●原文引用
「平安において、彼のすべての苦は滅する。心が静まった人の知性は速やかに確立するから。」(第2章 第65節)
●逐語訳
- 平安において:心が穏やかで静まったとき、
- すべての苦は滅する:苦しみや心の葛藤は消えていく。
- 心が静まった人の知性:波立たない心を持つ者の判断力は、
- 速やかに確立する:素早く、的確に整う。
●用語解説
- 平安(シャーンティ):心の穏やかさ、感情的な動揺がない状態。
- 苦(ドゥッカ):精神的な不安・混乱・執着から生じる苦しみ。
- 知性の確立:思慮・判断・洞察の安定と明晰さ。
●全体現代語訳
心が平穏であるとき、人はすべての苦しみから解放される。心が静まった人には、すばやく明晰な知性が宿るのだ。
●解釈と現代的意義
忙しさや不安が続くと、正しい判断ができなくなります。
しかし、心が落ち着いていると、最小の労力で最善の決断ができます。この節は、「心の平穏」が「問題解決力の源」になるという原理を示しています。
●ビジネスへの応用
ビジネス状況 | 応用ポイント |
---|---|
危機対応 | 焦って動くのではなく、平静さを保つことで正確な判断ができる。 |
タイムマネジメント | 心が散漫な状態ではなく、静かな集中から成果を生む。 |
意思決定 | 心の揺れや不安に左右されず、知性に基づいた選択ができる。 |
●ビジネス心得タイトル
「静けさは、最も速く、最も深い決断をもたらす」
この第64節と第65節は、「自己制御 → 平安 → 判断力の明晰化」という精神成長のプロセスを明確に示しています。
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