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行動にこそ、学びの真価が現れる──知識よりも誠実な実践を

人として自然な感情に従い異性に心が惹かれることは誰しもあるが、それと同じくらいの真剣さで、父母には力の限り尽くし、主君には命をかけて仕えるべきである。

友人との関係では、言葉に責任を持ち、信を守ることが何よりも大切だ。こうしたことが実行できているなら、たとえ「学んでいない」と言われても、すでに立派に学を体得していると言える。

書物の知識や学歴の有無ではなく、行動と人格にこそ、学びの本当の成果はあらわれる。

目次

原文

子夏曰、賢賢易色、事父母能竭其力、事君能致其身、與 友交、言而有信、雖曰未學、吾必謂之學矣、

「賢(けん)を賢(けん)として色(いろ)に易(か)えよ。父母(ふぼ)に事(つか)えて能(よ)く其(そ)の力(ちから)を竭(つ)くし、君(きみ)に事えて能く其の身(み)を致(いた)し、朋友(ほうゆう)と交(まじ)わるに言(こと)いて信(しん)あらば、未(いま)だ学(まな)ばずと曰(い)うと雖(いえど)も、吾(われ)は必(かなら)ず之(これ)を学(まな)びたりと謂(い)わん」

現代語訳(逐語/一文ずつ訳):

  1. 「賢を賢として色に易えよ」
     → 賢い人を賢いと認め、それにふさわしい敬意を態度や表情に表せ。
  2. 「父母に事えて能く其の力を竭くし」
     → 親に仕えるときは、自分の力を出し尽くして尽くしなさい。
  3. 「君に事えて能く其の身を致し」
     → 主君(現代でいえば上司や組織)に仕えるときは、自らの身を尽くして忠誠を尽くしなさい。
  4. 「朋友と交わるに言いて信あらば」
     → 友人との付き合いにおいて、言葉に誠実さと信頼があれば、
  5. 「未だ学ばずと曰うと雖も、吾は必ず之を学びたりと謂わん」
     → 本人が「私は学問をしていない」と言っていても、私は「この人は学んだ人だ」と必ず認めるだろう。

用語解説:

  • 賢(けん):徳や知恵を備えた優れた人物。
  • 色に易(か)える:態度・表情に表す。心で思うだけでなく、外に出す。
  • 力を竭くす:力を出し尽くす、できる限り尽くす。
  • 身を致す:身を捧げる、全力をもって仕える。
  • 信(しん):言葉に対する誠実さ、約束や信頼を守る姿勢。
  • 学(まな)びたり:学問だけでなく、徳を修めたことも含意する。

全体の現代語訳(まとめ):

賢い人物には、それにふさわしい敬意を言葉や態度で表すべきである。親には力を尽くして仕え、上司や組織には身をもって忠誠を尽くし、友人との関係においては誠実さをもって言葉を交わす。これらを実践している人は、たとえ「自分は学問をしていない」と言っていても、私は「この人は真に学んだ人だ」と評価したい。

解釈と現代的意義:

この一節が語る「学び」とは、書物や知識の習得だけではなく、日常のふるまいや人との関わりを通じた徳の実践を指します。

  • 学問=知識ではない、実践である:学歴や資格に頼るだけでなく、日常の行動の中に「学びの深さ」が現れる。
  • 尊敬・孝行・忠誠・信頼という徳の実践が、真の教養を示す

これは現代においても、「実行力や人格がともなった学びの重要性」を示唆しています。

ビジネスにおける解釈と適用:

  1. 「賢を賢として色に易えよ」=尊敬すべき人に敬意をもって接する
    • 尊敬や信頼は心の中だけでなく、態度や行動に表すことが必要。
    • 上司・先輩・取引先など、尊敬に値する人に礼節を尽くすことで、信頼が構築される。
  2. 「父母に事えて…君に事えて…」=誠実な尽力が人間関係の基礎
    • 家庭内の責任や役割に誠実であることは、職場での誠実さにもつながる。
    • 組織やチームへの貢献を、自らの役割として全うする姿勢が評価される。
  3. 「朋友と交わるに信あり」=対人関係での信頼の重視
    • 約束を守る、言動にブレがない、責任をもって言葉を使う。
    • 信頼が高まると、チームワークや共同プロジェクトの成果が格段に上がる。
  4. 「未だ学ばずと曰うと雖も…」=知識ではなく人間性が評価の基準
    • 資格や履歴ではなく、日々の態度や行動によって人の「学びの深さ」が判断される。
    • 人格を備えた人間こそが、信頼されるリーダー・パートナーとなる。
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