学ぶとは、道を知ることである。
だが、知ることと、歩くこととは別である。
学問は、ちょうど地図のようなものだ。
山がどこにあり、川がどこを流れ、
道がどのように交差するかを教えてくれる。
見ているだけで、あたかも全てを知ったような気になる。
しかし、人生は実地である。
地図では道が一本の線でも、
実際に歩けば、
風が吹き、雨が降り、
坂は急で、道はぬかるんでいる。
地図は必要だ。
しかし、地図に頼りすぎれば、現実の困難には対応できぬ。
また、地図なくして歩けば、
道に迷い、無駄に疲れ、
目的地にはいつまでも辿り着けない。
学問とは、歩くために学ぶのである。
頭に知を入れ、足で現場を踏め。
理論と実際とを照らし合わせてこそ、
学びは深く、知は力となる。
地図にばかり目を落としている者は、
現実の険しさに足を取られる。
歩くばかりで地図を顧みぬ者は、
遠回りを重ねる。
学んで歩くこと、歩いて学ぶこと。
それが、真に社会に活きる人間をつくる道である。
○学問と社会との関係を考察すべき例を挙げると、あたかも地図を見る時と実地を歩行する時とのごときものである。
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