孔子は、「君子の正しい成長のしかた」について、次のように語った。
「君子は、幅広く書物を学び、他者や先人の知恵を吸収する。
そしてその学びを、日々の行動において“礼”をもって実践すれば、
道を踏み外すことなく、正しい人生を歩むことができる」
ここで重要なのは、学びと実践のバランスである。
ただ知識を広く蓄えるだけでは、行動が伴わなければ意味をなさない。
また、行動があっても礼に欠ければ、それは粗野で独善的なものとなってしまう。
孔子は「博く文を学び、礼に約(やく)する」と言った。
それは、知識を行動に結びつけ、礼儀と節度をもって生活の中に落とし込むことこそ、君子の成長の道であるという意味である。
知る → 学ぶ → 実践する → 礼をもって続ける。
この循環が、人を内面から確かに育てていく。
ふりがな付き原文
子(し)曰(いわ)く、
君子(くんし)は博(ひろ)く文(ふみ)を学(まな)び、
これを約(やく)するに礼(れい)を以(も)てすれば、
亦(また)以(も)って畔(そむ)かざるべし。
注釈
- 君子(くんし):高い人格を備えた理想の人。学びと徳を兼ね備える。
- 博く文を学ぶ:書物に限らず、広く知識と教養を身につけること。
- 約するに礼を以てす:学びを礼儀に則って行動に集約する。知識と実践の調和。
- 畔かざる(そむかざる):正道から逸れない、人生の本筋を踏み外さない。
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