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■引用原文(日本語訳)
「私は浄めるもののうちの風である。戦士のうちのラーマである。私は魚類のうちのマカラ(摩竭魚)である。河川のうちのガンジスである。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第31節)
■逐語訳(一文ずつ)
- pavanaḥ pavatām asmi
→ 私は清めるもののうちの風である。 - rāmaḥ śastra-bhṛtām aham
→ 武器を取る者(戦士)のうちのラーマである。 - jhaṣāṇāṁ makaraś cāsmi
→ 魚類のうちのマカラ(伝説の海獣)である。 - srotasām asmi jāhnavī
→ 河川のうちのジャンハヴィ(ガンジス)である。
■用語解説
- 風(pavana):浄化・生命・呼吸の象徴。自然界で清めを担う。
- ラーマ(Rāma):ラーマーヤナの主人公。正義・献身・戦士の理想像。
- マカラ(Makara):想像上の巨大魚。インド神話では海の王、ヴァルナ神の乗り物ともされる。力強さ・深海の象徴。
- ジャンハヴィ(Jāhnavī):ガンジス川の別名。インドにおける最も聖なる河川。霊的浄化の象徴。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私は浄化するものの中では風であり、戦士たちの中ではラーマである。
魚類の中では巨大なマカラであり、川の中では聖なるガンジス川である。」
■解釈と現代的意義
この節は、浄化・力・信念・神聖というテーマが通底しています。
- 風(pavana):目に見えず、あらゆるものに触れて浄める存在。柔らかさと力強さを兼ねる。
- ラーマ:戦士の中でも、最も高潔で義に生きた人物。リーダーの理想像。
- マカラ:人知を超えた存在の象徴。深海=無意識・潜在能力の象徴とも読める。
- ガンジス:文化・宗教を超えて、人々の心を洗い流す聖流。
→見えぬところで影響し、信義に生き、深い力を持ち、清め続ける者の理想を説いている。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
浄化と透明性 | 風・ガンジス=組織の中に「風通しの良さ」や「倫理的な透明性」を確保する力 |
リーダーの姿勢 | ラーマ=公正、信頼される戦い、責任感ある判断を下せるリーダーシップ |
潜在力の発揮 | マカラ=見えにくいが強大な影響力を持つ戦略的資産や人材を活かす |
継続的な浄化 | ガンジス=組織文化や信条を定期的に「清め」「リセット」する習慣化 |
■心得まとめ
「風のように浄め、ラーマのように戦い、マカラのように潜み、ガンジスのように清らかに流れよ」
柔と剛、表と裏、外と内、行動と信条。
それらが統合されたとき、真に偉大な働きが生まれる。
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