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立場を得たなら、倦まず励み、まごころを尽くせ

主旨の要約

子張が政治における心がまえを尋ねたところ、孔子は「その職に就いたならば飽きずに努め、誠実に尽くすことが肝要である」と答えた。地位や役割に甘んじず、熱意とまごころをもって行動することが、政治の徳である。


解説

この章句は、政治や公的な立場に就いた者が持つべき二つの姿勢を端的に示しています。

子張の問いに、孔子は短く、力強く答えます:

「之に居りて倦むこと無かれ。之を行うに忠を以てせよ」

この2つの言葉には、以下のような深い意味が込められています:


【1. 倦むこと無かれ(飽きずに励め)】

政治や公の務めに就いたなら、それを使命として受け止め、面倒だからといって投げ出さず、飽きずに継続して努めることが大切だという教えです。
責任ある立場は、華やかさや権力のような外面的なものだけでなく、粘り強く関わり続ける姿勢によって本質が問われます。


【2. 忠を以てせよ(まごころと誠実さを尽くせ)】

「忠」は儒家において、誠実・まごころ・全力で人のために尽くす心を意味します。
政治に限らず、どんな立場においても「忠」をもって物事を行うことは、人からの信頼を得る鍵です。

このように、孔子が説く政治の本質とは、情熱と誠意の実践です。
それはリーダーシップの根幹でもあり、持続力と内面から湧き出る誠実さによって、人を導き、社会を整えるという視座が示されています。


引用(ふりがな付き)

子張(しちょう)、政(まつりごと)を問(と)う。
子(し)曰(いわ)く、之(これ)に居(お)りて倦(う)むこと無(な)かれ。之を行(おこな)うに忠(ちゅう)を以(もっ)てせよ。


注釈

  • 居りて倦むこと無かれ…職責を全うすることに飽きず、投げ出さず、粘り強く励むこと。地位に対する覚悟と勤勉さ。
  • 忠を以てせよ…誠実・まごころ・真剣な気持ちをもって行動すること。打算や虚飾ではなく、真の「尽くす心」。

パーマリンク(英語スラッグ案)

  • lead-with-dedication(献身をもって導く)
  • no-weary-heart-in-duty(務めに倦む心なし)
  • serve-with-sincerity(誠を尽くして仕える)

この教えは、単に政治家だけに向けたものではなく、すべての責任ある役割を担う人々への根源的な指針でもあります。
現代においても、仕事、教育、地域活動などにおいて、倦まず、忠を尽くすという姿勢は、信頼と実績の両方を支える基盤です。

1. 原文

子張問政。子曰、居之無倦、行之以忠。


2. 書き下し文

子張(しちょう)、政(まつりごと)を問う。
子(し)曰(いわ)く、之(これ)に居(お)りて倦(う)むこと無(な)かれ。之を行(おこな)うに忠(ちゅう)を以(もっ)てせよ。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳)

  • 「之に居りて倦むこと無かれ」
     → 政治に身を置く以上は、飽きたり、投げ出したりせず、地道に取り組むべきである。
  • 「之を行うに忠を以てせよ」
     → 政治を実行する際には、真心と誠実をもってあたることが大切である。

4. 用語解説

  • 子張(しちょう):孔子の弟子で、知識欲と理論的な思考に優れた人物。よく「実践」に関する質問をしていた。
  • 政(まつりごと):政治や行政、あるいは組織運営のこと。
  • 居る(おる):任に就く、ある地位にとどまる。政治を担う立場にあること。
  • 倦む(うむ):飽きる、疲れて投げ出す。
  • 忠(ちゅう):真心・誠実・全力を尽くす心。内に対する誠実さの表れ。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

子張が政治について孔子に問うた。

孔子は答えた:

「政治という任にある者は、その務めに飽きたり嫌がったりしてはならない。
そして、それを実行するときは、真心と誠実さをもって行うべきである。」


6. 解釈と現代的意義

この章句では、**「継続する意志」と「誠実な実行力」**という2つの徳が、政治(リーダーシップ)における基本であると説かれています。

  • 継続力=責任感と根気
     → 政治やマネジメントは、時に単調で成果が見えにくい。それでも“倦まずにやり続ける姿勢”が信頼を生む。
  • 忠=内なる誠実さ・利害を超えた誠意
     → 忠とは、誰かのために尽くすことではなく、自分の信義を貫く行動原理。外からの監視でなく、内面からの行動が“忠”である。
  • 徳治主義の核:継続と忠誠が人を導く
     → 知識や計略よりも、誠実な努力と継続性の方が、政治や組織運営において本質的な力となる。

7. ビジネスにおける解釈と適用

(1)「ポジションに就いたら、責任を持って“居続ける”」

  • マネージャーや経営者が簡単に投げ出せば、信頼は失われる。
     → 成果が出なくとも、“倦まず”に続ける姿勢こそがリーダーの資質。

(2)「施策・業務には“忠”を込めよ」

  • 義務的に行うだけでなく、「誰のため、何のため」の視点を持ち、心をこめて遂行する。
     → 忠=ミッションドリブンな行動。

(3)「飽きる前に“なぜやるのか”を再確認」

  • モチベーション低下のときは、倦まずにやり抜く理由(目的・意義)を見直す。
     → 続ける力は、意義づけから生まれる。

8. ビジネス用の心得タイトル

「倦まず、忠を尽くす──継続と誠意が信頼をつくる」


この章句は、リーダーシップや組織運営における最も基礎的な資質──継続と誠実──の重要性を、簡潔に示したものです。

変化の激しい現代においても、「ぶれず、あきらめず、心を尽くしてやり続ける人」は、やがて組織を動かす信頼の柱となります。

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