目次
■原文
老死から脱するため、私に帰依して努力する人々は、あのブラフマンを知る。個物に関して*その一切を知り、行為を残らず知る。
(第7章・第29節)
■書き下し文
老死を免れんがために、我に帰依して努力する人々は、かのブラフマンを知り、個物に関して一切を知り、また行為を残らず知る。
■現代語訳(逐語/一文ずつ)
- 老死から脱するため、
→ 老いと死という輪廻の苦しみから解放されることを目指し、 - 私に帰依して努力する人々は、
→ 神(クリシュナ)に心から帰依し、真剣に修行を重ねる人々は、 - あのブラフマンを知る。
→ 宇宙の根本原理であるブラフマン(梵)を知覚する。 - 個物に関してその一切を知り、
→ 現象世界に現れる個々の存在(ものや自己)に関して、真の本質を理解し、 - 行為を残らず知る。
→ カルマ(行為)の全体構造、働きの仕組みと意味を完全に理解する。
■用語解説
- 老死(ジャラ・マラナ):老いと死。輪廻転生の苦しみの象徴。
- 帰依(シャラナ):至高神への信頼と身心の委ね。バクティの実践。
- ブラフマン:宇宙の根本原理、不変にして遍在する実在。すべての根源。
- 個物(アディヒュータ):可変で個別の現象存在(五大要素などを含む)。
- 行為(カルマ):因果法則に基づくすべての行動。霊的進化や束縛の因となる。
■全体の現代語訳(まとめ)
老いや死の苦しみから脱することを願い、私(クリシュナ)に帰依して修行する人々は、宇宙の根本原理ブラフマンを悟る。そしてこの世界に現れるすべての個物の真実と、行為の本質を完全に理解するようになる。
■解釈と現代的意義
この節は、「知識」と「信愛」双方の実践が、解脱(モークシャ)に至る道であることを示しています。
- 帰依という行動(バクティ)により、
- 知るべきもの(ブラフマン)、存在(個物)、そして行為(カルマ)を完全に理解できる。
つまり、深い信仰は最終的に智恵へと至るという教えです。
■ビジネスにおける解釈と適用(個別解説付き)
- ゴール(解脱)を明確にすることで行動が変わる
→ 何のために努力するのか(理念・目的)を明確にしてこそ、方向性ある成長が可能。
→ 「ビジョンなき努力は空転する」 - リーダーは「全体構造(ブラフマン)」「現場(個物)」「オペレーション(行為)」を知る必要がある
→ 組織経営では、理念・現場・実務の3階層すべてを理解して初めて真の経営判断ができる。
→ 「全体を理解する力が、人を導く力となる」 - 信念と努力の継続が、あらゆる構造の本質に近づける
→ 単なる知識ではなく、信じて実践する継続こそが「知への道」である。
→ 「帰依と行動が知識を超える」
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