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己を知ることは、神を知ること


■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「そして、すべての『土地』において、私を『土地を知る者』であると知れ。
『土地』と『土地を知る者』との知識、それが〔真の〕知識であると私は考える。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第2節)


■逐語訳

そして、あらゆる身体(クシェートラ)において、私はそれを知る存在(クシェートラジュニャ)であると知りなさい。
身体(場)とその認識者(知る者)の両方を知ること、これこそが真の知識であると私は考える。


■用語解説

用語意味
土地(クシェートラ)各個人の身体や精神を含む「物質的な場」
土地を知る者(クシェートラジュニャ)その身体を知る者。魂であると同時に、究極的には神(クリシュナ=真我)
真の知識(ジュニャーナ)単なる情報ではなく、「主体(魂・神)」と「客体(身体・世界)」の区別を明らかにする智慧
私(アハム)神クリシュナ。宇宙全体に内在し、すべての生命の認識主体として存在する神我(パラマートマン)

■全体の現代語訳(まとめ)

神(クリシュナ)は、すべての存在の中にある「身体(物質)」と、それを見つめる「意識(魂)」の両方を認識することが、真の知識であると説く。さらに、すべての魂を貫いて存在する最高の認識主体――それが神自身であるとも語っている。


■解釈と現代的意義

この節は、すべての存在の中に神が宿り、それぞれの「認識の場(意識)」として作用しているという一元的な哲学を示しています。
物質と精神の二元性を越え、それを統合する視点を得ることで、人は本当の意味での知識(智慧)に目覚めます。これは単なる情報の蓄積ではなく、「自分は誰か」を見極める深い自己認識に通じています。


■ビジネスにおける解釈と適用

視点解釈と応用例
全体性の認識部署・役職・立場の違いを超えて、すべての人間が本質的には「神の一部」であると理解すれば、利害を超えた協働が可能になる。
リーダーシップ部下や顧客を「物」として扱うのではなく、それぞれに神の意識が宿っていると考え、敬意と共感を持って接する。
自己成長外の世界を変えようとする前に、自分の内にある「観察者」と向き合うことで、真の安定と自己認識が得られる。
人材育成表面的な成果だけでなく、相手の「本質的な認識力(観察者としての自己)」を育てることで、真の力を引き出すことができる。

■心得まとめ

「知識とは、物事を知ることではなく、自分が“誰”であるかを知ること」

『バガヴァッド・ギーター』は、身体(場)と魂(観察者)を見分け、さらにはそのすべての内に宿る神の存在を見出すことが「真の知識」であると説いています。
現代のビジネスにおいても、人や事象を「対象」として見るのではなく、その背後にある“意識”や“尊厳”を感じることが、人間中心のマネジメントと真のリーダーシップへとつながります。

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