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■引用原文(日本語訳)
マガヴァー(インドラ神)は、つとめ励んだので、神々のなかでの最高の者となった。つとめ励むことを人々はほめたたえる。放逸なることはつねに非難される。
(『ダンマパダ』第2章「はげみ」第30偈)
■逐語訳
- インドラ神(マガヴァー)は、
- たゆまぬ努力(精進)をしたがゆえに、
- 神々の中でも最上位の地位を得た。
- 精進することは、いつの時代でも人々に称賛される。
- 一方で、怠けること(放逸)は常に非難されるものである。
■用語解説
- マガヴァー(Maghavā):インドラ神の別名。古代インド神話における天界の王で、仏典では努力の象徴としてしばしば引用される。
- つとめ励む(アッパマーダ):注意深く、努力を継続すること。仏教における最大の美徳の一つ。
- 神々のなかでの最高(サッモー・デーヴァーナム):努力によって得られる最高の境地。徳と威光により群を抜いた存在。
- ほめたたえる(パサンサンティ):人々が賞賛し、尊敬すること。
- 放逸(パマーダ):怠惰、無自覚、だらしなさ。仏教において精神的堕落の象徴。
- 非難される(ニンダンティ):軽蔑や批判の対象になること。
■全体の現代語訳(まとめ)
インドラ神(マガヴァー)は、他の神々を超えるほどの存在となったが、それは彼が不断の努力を重ねたからである。精進という行いは、時代や立場を超えて人々に称賛されるが、逆に怠けることはどんな場においても軽んじられ、批判される。
つまり、努力こそが尊敬と成功の源泉である――という真理を、この偈は説いている。
■解釈と現代的意義
この偈は、**「成功や地位の背後には必ず努力がある」**という普遍的真理を、神話的たとえを用いて明示しています。
努力によって神々の王にまでなったインドラの例は、私たちに「努力が運命を変える」ことを強く示しています。
また、努力は他人の目に見えなくても必ず評価され、逆に怠惰はどんなに装っても本質を見抜かれ、信頼を失っていくという行動倫理の原則をも表しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
リーダー育成 | 権限や肩書ではなく、「継続的な努力」が人を上に立たせる。努力によるリーダーシップこそが信頼を得る。 |
組織文化 | 社内外を問わず、「頑張る人を評価し、怠ける人を戒める」文化が組織の健全さを保つ。 |
キャリア形成 | 努力は即座に結果を生まなくとも、評価され、機会と信用を得る源となる。 |
社会的信頼 | ビジネスにおいても、粘り強く努力を続ける人や企業が、最終的に信頼と市場の支持を勝ち取る。 |
■心得まとめ
「努力する者は、天上の王にもなれる」
立場が低くても、才能がなくても、努力はすべてを超える力を持つ。
怠けてはならない。たとえ誰も見ていなくても、努力は必ず光を放つ。
人はその姿にこそ敬意を抱き、社会はそうした者を王のごとく讃えるのである。
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