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名でも家柄でもなく、真理を守る者こそ尊い


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■引用原文(日本語訳)

螺髪(らほつ)を結っているからバラモンなのではない。
氏姓によってバラモンなのでもない。
生れによってバラモンなのでもない。
真実と理法とを守る人――その人は安らぎを得ている。
彼こそが真のバラモンである。

(『ダンマパダ』第393偈|第二六章「バラモン」)


■逐語訳

  • Na jaṭāhi na gottena:髪型(螺髪)によってでも、氏族(家柄)によってでもなく
  • Na jaccā hoti brāhmaṇo:生まれによって〈バラモン〉とはならない
  • Yamhi saccaṃ ca dhammo ca:真理と法(ダンマ)とが備わっている人
  • So sucī so ca brāhmaṇo:その人こそが清らかであり、本当のバラモンである

■用語解説

  • 螺髪(jaṭā):修行者・苦行者が結ぶ髪型。外見的宗教的スタイルの象徴。
  • 氏姓(gotta):家柄・種族・血統など、社会的地位や出自。
  • 生れ(jaccā):カーストや親の属性を含む先天的な身分。
  • 真実(saccaṃ):偽りや欺瞞のない言葉・態度・思考。
  • 理法(dhammo):仏教の教え、真理、道徳的法則。「ダルマ」と同義。
  • 安楽(sucī):心が清らかで、平安な境地にある状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

人は外見や家柄、どの家に生まれたかということによって〈バラモン〉――精神的に完成された者――になるのではない。
真実を語り、真理に従って生きる人こそが、心の安らぎを得て、真の意味で「尊ばれるに値する存在」である。
本質は常に、内面の誠実さと実践にある。


■解釈と現代的意義

この偈文は、形式や世俗的評価ではなく、「真理への実践と誠実さ」が人間の本質を決めるという仏教の根本的価値観を示しています。
現代でも「学歴」「職業」「家柄」「外見」といった形式的な要素で人が評価されがちですが、本当に信頼され、尊敬されるのは、**「真実を語り、道理にかなった行いをする人」**です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
形式主義からの脱却経歴・肩書き・装飾に頼らず、「何を成してきたか」「どう考え、どう行動しているか」で評価する文化の重要性。
誠実な行動の価値嘘をつかず、原理原則に忠実な人物は、信頼と安定をもたらす。表面上の優秀さより、中身の整った人格が求められる。
ダイバーシティとインクルージョン出自や背景にかかわらず、誰もが実力と誠実さで認められる組織が持続可能性と創造性を生む。
ブランドとしての一貫性装飾やイメージよりも、「行動で語る」ブランド・企業文化の方が顧客からの信頼を得やすい。

■心得まとめ

「肩書ではなく、真理を生きる姿が人を尊くする」
見かけや生まれで人の価値は決まらない。
嘘をつかず、正しい道を歩もうとする姿勢――それが、真の尊厳と安らぎをもたらす。
ビジネスにおいても、飾らず、誠実に行動する人が最も深い影響力を持ち、
そのような人をこそ、真に「プロフェッショナル」と呼ぶにふさわしいのです。


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