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■原文
アルジュナは言った。
「クリシュナよ、あなたへの称讃により、世界が歓喜し熱中するのも、尤もなことである。羅刹どもは恐れて諸方に逃げ、すべてのシッダの群は敬礼する。」
(11章36節)
■逐語訳(一文ずつ)
- アルジュナは言った。
→ 神の宇宙相を目撃し、心を入れ替えたアルジュナの新たな敬意が表明される。 - クリシュナよ、あなたへの称讃により、世界が歓喜し熱中するのも、尤もなことである。
→ あなたの偉大さを賛美することに、世界が喜び熱狂するのは当然だ。 - 羅刹どもは恐れて諸方に逃げ、すべてのシッダの群は敬礼する。
→ 邪悪な存在(羅刹)はあなたの威光を恐れて逃げ出し、修行を極めた聖者(シッダ)は敬礼を捧げている。
■用語解説
- 羅刹(らせつ):インド神話に登場する魔性の存在、悪鬼や悪霊のような存在。
- シッダ(siddha):超自然的な能力(シッディ)を獲得した聖者。修行を極めた「成就者」。
- 称讃(しょうさん):神の名や姿を称えること。バクティ(信愛)における主要な行。
■全体の現代語訳(まとめ)
アルジュナは言った。
「クリシュナよ、あなたの偉大さを称えることで、世界が喜び、没入していくのは当然のことです。悪しき羅刹たちは恐れて四方へと逃げ、聖なる成就者たちは皆、あなたに敬礼しています。」
■解釈と現代的意義
この節は、「恐れ」から「賛美」へのアルジュナの心の変化を示しています。
宇宙的真理を目の当たりにした人間が、自らの小ささを認めつつ、大いなる力に対して「称讃する心」を持つようになることは、信仰の深化を意味します。
さらに、「邪悪な存在は恐れ逃げ、徳のある者は自然に敬礼する」ことは、真実の力(ダルマ)が持つ影響力の本質を表しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
- 正しき理念(ヴィジョン)を掲げる者には、自然と尊敬が集まり、不正は遠ざかる。
→ 明確な志や正しい価値観を持つリーダーには、組織も顧客も自然と惹かれる。不正や敵対者は近づけない雰囲気が生まれる。 - 敬意は強制されるものでなく、「本物の力」に自然と集まる。
→ 影響力とは押し付けるものではなく、信頼と一貫性によって築かれる。
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