MENU

自ら起こした業(カルマ)が、自らを滅ぼす


目次

📜 引用原文(日本語訳)

鉄から起こった(錆)が、それから起ったのに、鉄自身を損なうように、悪をなしたならば、自分の業が罪を犯した人を悪いところ(地獄)にみちびく。
——『ダンマパダ』第18章「汚れ」第240偈


📘 逐語訳

  • 鉄から起こった(錆):鉄の中から生じた腐食作用(=錆)が比喩。
  • それから起ったのに鉄自身を損なう:自らの内部から生まれたもの(錆)が、自分を蝕むという矛盾的な現象。
  • 悪をなしたならば:倫理に反した行為、不善なる行いをしたならば。
  • 自分の業が罪を犯した人を地獄に導く:自分の行為の結果(カルマ)が、自分自身を苦しみの世界(悪趣)へと連れて行く。

🧾 用語解説

用語意味
錆(さび)比喩的には内面から生じる悪心・悪習・自己破壊の兆し。
業(カルマ)自分の意志による行為とその結果。仏教の因果律の根幹。
地獄(悪いところ)六道輪廻の中で最も苦しみの多い境涯。
仏教的には、心・言葉・身体の三業における過ち。

🌏 全体の現代語訳(まとめ)

鉄が生む錆は、その鉄自身を腐食し滅ぼす。
それと同じように、人間も、自分自身の内から生まれた悪しき行いによって、自らを滅ぼすことになる。
その結果として、犯した業(カルマ)はその人自身を苦しみの世界へと導いてしまう。


💡 解釈と現代的意義

この偈は、**「自滅のメカニズム」**を鋭く描いています。
悪行は他人への害である前に、まず自分自身の魂を損ないます。
誰かに見られていなくても、行動そのものが自分を形作り、そして破壊するかも知れないという仏教的な因果の認識がここにあります。

この比喩の深い点は、「錆は鉄の外ではなく、内側から生じる」ということ。つまり、人は外的要因よりも、自分の内なる在り方によって苦しみに陥るという警告でもあります。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
内部崩壊の危険不正・虚偽・隠蔽などは、組織を外からではなく内部から崩壊させる。
自己破壊的行動焦燥・怒り・嫉妬などによる衝動的行動は、信用や人間関係を損ない、最終的に自らを追い詰める。
倫理とリーダーシップリーダーが倫理を損なえば、その影響は最終的に自分の評価と組織の命運に返ってくる。
習慣の力小さな悪癖(例:怠惰、責任転嫁)が積もり積もって、最終的にパフォーマンスや信頼を損なう結果となる。

🧭 心得まとめ

「他人を傷つける前に、あなたの行為はあなた自身を蝕んでいる」

悪は外に放たれた瞬間から、自分の心と運命を腐らせる。
錆びない鉄をつくるには、常に自分の内面を清らかに保たねばならない。
正しい行動、誠実な姿勢、それこそが長期的に自分を守る唯一の盾となる。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次