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望むも望まぬも、ただなすべし──澄み切った心の行為


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■引用原文(日本語訳)

「純質に満ちた捨離者は、叡知あり、疑惑を断ち、望ましくない行為を厭わず、望ましい行為にも執着しない。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第10節)


■逐語訳

純質(サットヴァ)に満ちた捨離者は、
正しい理解(叡知)を持ち、疑いを断ち切り、
不快な行為を嫌がらず、
快い行為にも執着しない。


■用語解説

  • 純質(サットヴァ):清らかさ、知性、調和、内的安定を象徴する性質。
  • 叡知(ブッディ):識別力。何が正しく、何が誤っているかを見極める智慧。
  • 疑惑(サムシャヤ):不確かさ、不信、迷い。精神的ブレの原因。
  • 望ましくない行為:自我が避けたがる不快・重い・責任ある行為。
  • 望ましい行為:利益・快楽・称賛などを伴う、自我が好む行為。

■全体の現代語訳(まとめ)

サットヴァ(純質)に満ちた本物の捨離者は、物事の本質を見抜く叡知を持ち、迷いや疑念に囚われない。
そして、自分にとって「好ましいか否か」で行為を選ばず、義務に従って平等に受け止める。
「やりたくないからやらない」「やりたいからやる」といった衝動に支配されず、澄んだ心でなすべきことをなす――それが真の捨離者の姿である。


■解釈と現代的意義

この節は、「心の成熟度」によって行為の質が決まることを示しています。
多くの人は、好きか嫌いか、損か得か、楽か苦かで判断します。
しかし、真に自由な人は、「なすべきことを、平等に、静かに行う」力を持っています。
それは他人の目にも、自分の感情にも揺るがされない強さであり、内面の完成に近づいた証です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
職務遂行の姿勢難しい・面倒な仕事でも逃げず、花形の業務にも執着せず、役割として淡々と実行できる人は信頼される。
意思決定「好き嫌い」ではなく「今、何が正しいか」で判断する人は、長期的に成功しやすい。
組織の安定性嫌な仕事を敬遠しがちな文化では、チームが不安定になる。純質的捨離の姿勢をもつリーダーがいると、空気が変わる。

■心得まとめ

「行為に善悪なし。心の在り方が、行為を清める」
『ギーター』は教える。好悪や損得ではなく、「義務としての行為を、静かに全うする」その姿勢にこそ、真の自由と叡知がある。
行為の質は、心の成熟度によって決まる――それが、真の捨離者の生き方である。


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