細く狭い道を通るとき、混雑していれば、自分が一歩よけて人に道を譲る。
おいしいものを分け合うとき、自分の取り分を少し減らして他人に譲る。
このようなささやかな「思いやり」の積み重ねが、
人生を安らかで幸せなものにしていく。
自分の幸福だけを追い求めるのではなく、誰かに分け与える――
それが、真に満ち足りた人生を送るための、最も安楽な道である。
「径路(けいろ)の窄(せま)き処(ところ)は、一歩(いっぽ)を留(とど)めて人(ひと)の行(ゆ)くに与(あた)え、
滋味(じみ)の濃(こ)やかなる的(もの)は、三分(さんぶん)を減(へ)らして人の嗜(たしな)むに譲(ゆず)る。
此(こ)れは是(これ)れ世(よ)を渉(わた)る一(いち)の極(きょく)安楽(あんらく)の法(ほう)なり。」
注釈:
- 径路(けいろ)…細い道、小道。人と人がすれ違う場面を象徴する言葉。
- 窄き処(せまきところ)…人がぶつかりやすい、譲り合いが必要な場面。
- 滋味(じみ)…おいしさ、美味。特別な楽しみや満足の象徴。
- 三分を減らす…自分の取り分を少し減らして、他人に与える思いやり。
- 極安楽の法(きょくあんらくのほう)…最も安らかで幸福な生き方の方法、心の在り方。
コメント