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苦しみのあとに訪れる静けさと美しさは、格別のもの

雨が上がったあとの山々の景色には、
ひときわ新鮮で、心を打つ美しさが宿っている。

また、夜が深まり、あたりが静まりかえったときに聞こえてくる鐘の音――
その響きは、いつにも増して清らかで、澄みきって心に沁み渡る。

つらい経験や試練のあとだからこそ、
私たちは一層強く、感受性を高めて“美しさ”や“ありがたさ”を感じることができる。

それはまさに、苦を経て得られる清らかな悦びであり、
人生の中で深い意味を持つ瞬間である。


原文とふりがな付き引用

雨余(うよ)に山色(さんしょく)を観(み)れば、景象(けいしょう)便(すなわ)ち新姸(しんけん)なるを覚(おぼ)ゆ。
夜(よる)静(しず)かなるとき鐘声(しょうせい)を聴(き)けば、音響(おんきょう)尤(もっと)も清越(せいえつ)と為(な)す。


注釈

  • 雨余(うよ):雨上がり、雨が止んだあとのこと。
  • 山色(さんしょく):山の風景、景観。
  • 新姸(しんけん):新鮮な美しさ。目にも心にも新しく美しく感じられること。
  • 鐘声(しょうせい):寺の鐘の音。精神的な響きとしても象徴的。
  • 清越(せいえつ):とても澄んでいて、清らかに響き渡ること。物理的にも精神的にも清く澄んだ音。

1. 原文

雨餘觀山色、景象覺新姸。夜靜聽鐘聲、音響尤爲清越。


2. 書き下し文

雨余(うよ)に山色(さんしょく)を観(み)れば、景象(けいしょう)便(すなわ)ち新姸(しんけん)なるを覚(おぼ)ゆ。
夜(よ)静(しず)かなるとき鐘声(しょうせい)を聴(き)けば、音響(おんきょう)尤(もっと)も清越(せいえつ)と為(な)す。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳)

  • 「雨のあとの山の景色を見ると、その姿はことさら新しく、美しく感じられる」
  • 「夜が静まり返ったときに鐘の音を聞けば、その響きはことのほか清らかで澄んで響いてくる」

4. 用語解説

  • 雨餘(うよ):雨が降った後。洗い清められた自然や街の様子。
  • 山色(さんしょく):山の景色・風景。季節や時間により変わる表情を持つ。
  • 景象(けいしょう):目に映る風景・情景の全体像。
  • 新姸(しんけん):新しく美しいこと。「姸」は「美しい」という意。
  • 夜靜(やせい):夜の静けさ、静寂の時間帯。
  • 鐘聲(しょうせい):寺などの鐘の音。遠くまで届く荘厳な響き。
  • 清越(せいえつ):清らかでよく通る、澄み渡る音色。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

雨が降ったあとの山の景色は、空気が洗われ、草木が潤い、まるで新しく化粧直しされたかのように美しく感じられる。
また、夜が静まり返って周囲に音がないとき、遠くから響いてくる鐘の音は、特に澄んでいて心にしみわたるように聞こえる。


6. 解釈と現代的意義

この章句は、環境や心の状態によって、感覚の鋭さや美の受け取り方がまったく変わるという真理を表しています。

  • 雨=浄化、夜の静寂=内面の平安
  • ただの風景・ただの音でも、“整った状態”で接すると感動がある
  • 自然の中にある美の変化に気づく感性=心の余白がなければ得られない

これは、日常の中で美に気づく感受性の育成、さらにはマインドフルネス的な心の態度を指し示す言葉でもあります。


7. ビジネスにおける解釈と適用

✅ “整える”ことで、五感が働き始める

  • 頭を休め、心を静めることで、「見えていなかったもの」「聴こえていなかったこと」が浮かび上がる。
  • 多忙な日常では情報過多・感性麻痺が起きがち。それを打破するのが“心の静寂”の確保。

✅ 美しさや本質は、整った環境の中でしか見えない

  • プロダクトの本質や、部下の成長の兆しも、雑然とした状態では見逃される。
  • 清掃・整理・静寂などの「場の美学」は、創造性・共感・戦略性の感度を高める。

✅ 静かな時に“響くもの”を大切にせよ

  • 雑音のない時間帯に浮かぶアイデア、寝る前の小さな疑問、歩いている時の気づき……そうした静寂の中で生まれるものが最も本質的。

8. ビジネス用の心得タイトル

「澄んだ心にだけ、真の景色と響きが届く」


この章句は、空間演出や環境整備を通じて感性を磨く研修や、エグゼクティブ層向けの静寂と思考の関係性講座などに最適な素材です。

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