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■引用原文(日本語訳)
「私は竜のうちのアナンタ(竜王の名)である。水に住むものたちのうちのヴァルナ(水天)である。私は祖霊のうちのアリヤマンである。制御者のうちのヤマ(閻魔)である。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第29節)
■逐語訳(一文ずつ)
- anantaś cāsmi nāgānāṁ
→ 私は蛇王たち(ナーガ)のうちのアナンタである。 - varuṇaś cāsmi sāṁnām
→ 水に関わるもののうちではヴァルナ(水天)である。 - pitṝṇām aryamā cāsmi
→ 祖霊の中ではアリヤマンである。 - yamaḥ saṁyamātām aham
→ 制御する者たちのうちでは、私はヤマ(閻魔)である。
■用語解説
- アナンタ(Ananta):無限を意味する大蛇。ヴィシュヌ神の寝床となる存在で、宇宙を支える竜王。
- ヴァルナ(Varuṇa):水の神。天則と真理を司る。古代には法と誓約の守護神でもあった。
- アリヤマン(Aryaman):祖霊の一柱。誠実・客人の保護・道徳秩序を象徴する神格。
- ヤマ(Yama):死の神、または正義の神。死後の審判者であり、抑制・節度を象徴。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私は竜族のうちの無限なる存在アナンタであり、水中の存在では天則と真理を司るヴァルナである。
祖霊たちの中では誠実の象徴アリヤマンであり、制御する者の中では正義をもって裁くヤマである。」
■解釈と現代的意義
この節では、**宇宙秩序を支える神聖な「制御」や「守護」**の力が強調されています。
- アナンタは「宇宙の基盤」=見えざる持続力
- ヴァルナは「自然と道徳律」=社会の見えざる秩序
- アリヤマンは「祖先・礼節」=文化と倫理の継承
- ヤマは「統制と正義」=節度・規律・審判の原理
これらはすべて、人間社会と個人の精神を保つ不可視の柱として機能しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
ビジョンと基盤 | アナンタ=長期的視野で支えるビジョンとバックエンド体制の重要性 |
法と規範 | ヴァルナ=組織のルールや企業倫理の整備 |
文化と継承 | アリヤマン=創業精神・家訓・ブランド哲学の継承 |
統制と評価 | ヤマ=公正な評価、コンプライアンス、制御のマネジメント |
■心得まとめ
「目に見えぬ力こそ、秩序を保つ支柱である」
組織や社会を成り立たせるのは、
力や成果の前に、「見えざる秩序」「長期的支え」「倫理と審判」である。
リーダーはこれらを背後に持ち、初めて信頼を築くことができる。
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