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棚卸減耗とは?概要と会計処理を解説

**棚卸減耗(たなおろしげんもう)**とは、企業が保有する棚卸資産(商品、製品、原材料など)が、在庫調査時に帳簿上の数量よりも実際の数量が少ないことを指します。この差異は、主に以下の原因で発生します:

  • 盗難
  • 破損
  • 劣化や蒸発
  • 記録ミス

棚卸減耗の発生は、企業の在庫管理や内部統制の重要性を浮き彫りにするだけでなく、財務諸表にも影響を与えるため、適切な会計処理が必要です。


棚卸減耗の原因

  1. 自然現象
    • 商品の蒸発や劣化による重量・数量の減少。
  2. 人為的要因
    • 盗難、破損、紛失、計算や記録ミス。
  3. 販売過程での損失
    • 店頭での商品扱い中の破損や消費期限切れ。

棚卸減耗の会計処理

棚卸減耗は、営業外費用または特別損失として会計処理されることが一般的です。棚卸減耗損として計上し、損益計算書に反映されます。


棚卸減耗の仕訳例

例題1:棚卸減耗の発生

  • 帳簿上の在庫:1,000,000円
  • 実地棚卸での在庫:950,000円
  • 減少分:50,000円(棚卸減耗損)

仕訳

コードをコピーする棚卸減耗損 50,000円 / 商品 50,000円

例題2:棚卸減耗損の原因が特定できた場合

棚卸減耗の原因が盗難であることが判明した場合、損害保険金の受取があるかどうかによって処理が異なります。

  • 保険金の受取なし
コードをコピーする棚卸減耗損 50,000円 / 商品 50,000円
  • 保険金50%受取
コードをコピーする棚卸減耗損 25,000円 / 商品 50,000円
未収入金    25,000円

棚卸減耗の税務上の取扱い

  1. 損金算入の可否
    • 棚卸減耗損は、税務上、損金算入が認められる場合があります。
    • ただし、業務上の理由(自然損耗や劣化など)によるものに限定されます。
  2. 業務外の要因
    • 盗難や記録ミスによる棚卸減耗は、損金算入が認められない場合があります。

実務での留意点

  1. 在庫管理の徹底
    • 定期的な実地棚卸を行い、帳簿との一致を確認することで減耗の早期発見が可能。
  2. 原因の特定
    • 棚卸減耗の原因を調査し、盗難や破損の場合は適切な対応を行う。
  3. 内部統制の強化
    • 在庫管理システムの導入や、従業員教育を通じて減耗リスクを低減。
  4. 税務処理の確認
    • 棚卸減耗損が損金算入可能かどうか、税理士や会計士と相談。

棚卸減耗のメリットとデメリット

メリット

  1. 在庫の実態把握
    • 定期的な棚卸で、在庫の実際の状況が把握できる。
  2. 内部統制の改善
    • 減耗の発生が管理体制の見直しにつながる。

デメリット

  1. 損失計上
    • 減耗分を損失として計上しなければならず、利益が減少する。
  2. 管理負担
    • 棚卸減耗を防ぐための管理体制整備や調査にコストがかかる。

棚卸減耗と類似概念の比較

項目棚卸減耗商品評価損
発生原因物理的な数量の減少在庫価値の下落
損失計上の理由劣化、蒸発、盗難、破損市場価格の下落
会計処理棚卸減耗損として計上評価損として計上
損金算入の可否条件付きで可能条件付きで可能

まとめ

棚卸減耗は、在庫調査時に発見される在庫の実際数量と帳簿数量の差異を管理するための重要な概念です。適切な会計処理を行うことで、財務諸表の信頼性を向上させ、内部統制の改善につなげることができます。

実務では、減耗の原因特定と管理体制の強化を重視し、損失計上や税務処理における適切な対応を行うことが重要です。また、定期的な棚卸と記録の精度向上を通じて、棚卸減耗を最小限に抑えることを目指しましょう。

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