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棚卸計算法とは?その概要と特徴を解説

棚卸計算法は、企業が保有する在庫(商品や製品、原材料など)の数量や価値を把握し、財務報告や原価計算に活用するための方法です。この方法は、在庫管理や売上原価の計算において重要な役割を果たします。


棚卸計算法の概要

定義

棚卸計算法(Inventory Valuation Methods)は、在庫の価値を評価し、売上原価や期末在庫額を計算するための方法を指します。在庫の購入価格や生産コスト、売上との関連性を基に評価します。

特徴

  • 売上原価の計算:販売した商品や製品の原価を算出。
  • 期末在庫の評価:財務報告のために期末時点の在庫価値を計算。
  • 原価管理の基礎:在庫の適正管理や収益性分析に活用。

棚卸計算法の種類

棚卸計算法には、主に以下の方法があります。

1. 個別法

  • 各在庫品目を個別に識別し、実際の購入価格や製造原価で評価する方法。
  • 特徴
  • 高価な製品や特殊な商品に適用(例:宝石、自動車)。
  • 管理コストが高い。

2. 先入先出法(FIFO)

  • 先に仕入れた在庫を先に販売したとみなす方法。
  • 特徴
  • 在庫が時系列順に管理される。
  • 物価が上昇している場合、期末在庫の評価額が高くなる。

3. 後入先出法(LIFO)

  • 後に仕入れた在庫を先に販売したとみなす方法。
  • 特徴
  • 物価が上昇している場合、売上原価が高くなり、利益が抑えられる。
  • 日本では認められていない場合が多い(IFRSでは禁止)。

4. 平均原価法

  • 仕入れた在庫の平均原価を計算し、それを用いて評価する方法。
  • 特徴
  • 在庫管理が簡単で、多品種少量生産に適している。
  • 価格変動の影響を平均化できる。
  • 算出方法
    • 総平均法:期末在庫を含む全期間の平均原価。
    • 移動平均法:仕入れのたびに平均原価を再計算。

5. 最終仕入原価法

  • 期末在庫を最後に仕入れた商品の原価で評価する方法。
  • 特徴
  • 簡単な計算が可能。
  • 市場価格が急変する場合には正確性に欠ける。

棚卸計算法の計算例

データ

  • 1月1日:100個を1,000円で購入。
  • 1月10日:50個を1,200円で購入。
  • 1月20日:80個を販売。

1. 先入先出法(FIFO)の場合

  • 最初に仕入れた100個から80個を販売:
  • 販売原価 = 80個 × 1,000円 = 80,000円
  • 期末在庫 = 20個 × 1,000円 + 50個 × 1,200円 = 20,000円 + 60,000円 = 80,000円

2. 後入先出法(LIFO)の場合

  • 最後に仕入れた50個をすべて販売し、残り30個を最初の仕入れから販売:
  • 販売原価 = 50個 × 1,200円 + 30個 × 1,000円 = 60,000円 + 30,000円 = 90,000円
  • 期末在庫 = 70個 × 1,000円 = 70,000円

3. 平均原価法(総平均法)の場合

  • 平均原価 = (100個 × 1,000円 + 50個 × 1,200円) / 150個 = (100,000円 + 60,000円) / 150 = 1,066.67円
  • 販売原価 = 80個 × 1,066.67円 ≈ 85,333円
  • 期末在庫 = 70個 × 1,066.67円 ≈ 74,667円

棚卸計算法のメリットとデメリット

1. 個別法

  • メリット
  • 在庫管理の正確性が高い。
  • デメリット
  • 管理が煩雑で、高価なシステムが必要。

2. 先入先出法

  • メリット
  • 在庫評価が実際の流れに近い。
  • 物価上昇時に利益が高くなる。
  • デメリット
  • 税金負担が増加する可能性。

3. 後入先出法

  • メリット
  • 物価上昇時に節税効果がある。
  • デメリット
  • 財務諸表で期末在庫が過小評価される場合がある。

4. 平均原価法

  • メリット
  • 計算が簡単で、価格変動の影響を平均化。
  • デメリット
  • 実際の仕入れ価格を反映しにくい。

5. 最終仕入原価法

  • メリット
  • 計算が簡易で分かりやすい。
  • デメリット
  • 期末在庫の評価が正確性を欠く可能性がある。

棚卸計算法の選択基準

  1. 業界特性
  • 高価な製品は個別法、低価格で大量の在庫を扱う業界は平均原価法が適する。
  1. 価格変動
  • 価格変動が激しい場合、先入先出法や後入先出法が有効。
  1. 会計基準
  • 日本基準やIFRSなど、規定される方法に従う必要がある。
  1. 税務上の要件
  • 税務申告で認められる方法を採用。

棚卸計算法のまとめ

棚卸計算法は、在庫管理や財務報告における重要な手法であり、企業の収益性や財務状態に大きな影響を与えます。事業の特性や法的要件を考慮して、適切な方法を選択することが重要です。

在庫管理の効率化やコスト削減を図りながら、正確な棚卸計算を通じて、企業の競争力を高めましょう!

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