目次
■引用原文(第11章 第19節)
アルジュナは言った:
「始まり、中間、終りのない、無限の力を持ち、無限の腕を持ち、
月と太陽を眼とし、燃火を口とし、自らの光輝によりこの全世界を熱しているあなたを私は見る。」
―『バガヴァッド・ギーター』第11章 第19節
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- あなたには始まりも中間も終りもありません。
- あなたは無限の力を備え、無限の腕を持っています。
- あなたの眼は月と太陽であり、
- あなたの口は燃えさかる火であり、
- あなたの光輝によって、この世界全体が熱せられています。
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
始まり・中間・終り | 過去・現在・未来の時間を超越した存在を示す。永遠の存在であることの表現。 |
無限の力・腕 | 神があらゆる面で力を持ち、あらゆる方向に働きかけられる存在であることを象徴。 |
月と太陽を眼とする | 月(穏やかさ)と太陽(光とエネルギー)が神の視力であるという比喩。宇宙の監視者としての象徴。 |
燃火(アグニ)を口とする | 火は変革・浄化・力を象徴。神が創造と破壊の力を兼ね備えていることを示す。 |
自らの光輝 | 神の存在そのものが放つ力と智慧の象徴。宇宙を動かす源泉。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
アルジュナは、神が時間や空間の制限を超えた存在であり、
全方位に力を及ぼし、宇宙を動かす根源的エネルギーであると直感する。
その神は穏やかさ(月)と熱烈さ(太陽)を併せ持ち、全世界に影響を与える、
無限の力の化身であると告白している。
■解釈と現代的意義
この節は、神が「全てを包括する存在」であることを象徴的に描いています。
その姿は、調和と変化、慈愛と力、始まりも終わりも超えた存在であり、
私たちにとっては「時代や環境に依存しない本質的な力」や「普遍的な視点」を意味します。
現代では、無限の視野と持続的なエネルギーを持つ者こそがリーダーシップを発揮できることを示唆しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
長期ビジョン | 始まり・中間・終りのない視点を持つ=短期的成果に一喜一憂せず、持続可能な道を選ぶ。 |
多面的視野 | 月と太陽=穏やかさと情熱、両方のバランスを取るリーダーがチームを導く。 |
創造と破壊の力 | 火を口に持つ=新しいものを創るには古いものを焼き尽くす勇気と決断が必要。 |
自己の光輝 | 周囲に影響を与える人は、外から力を借りずとも、自らの信念・価値観によって周囲を照らしている。 |
■心得まとめ
「本質的な力は、始まりも終わりも超えて、静かに世界を変える」
真に偉大な存在とは、目に見える派手さではなく、
時空を超えた「存在そのものの力」で周囲を照らし、温め、導く者である。
ビジネスにおいても、表面的な戦略よりも「揺るぎない内なる力」と「広く深い視野」が、
長期的成功と信頼を築いていく鍵となる。
コメント