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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第52偈)
欲求がなくなり、
しゃべることが無く、
悪い心を除き、
瞑想して、
塵垢を離れた人、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
🔍 逐語訳(意訳)
- あらゆる欲求を滅し、
- 無駄な言葉を語らず、
- 心の中の悪を取り除き、
- 瞑想によって精神を統一し、
- 心の塵や汚れを完全に払い去った人――
その人こそ、真の〈バラモン〉である。
🧘♂️ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
欲求(タンハー) | 渇望・執着の根本原因。涅槃への最大の障壁。 |
しゃべることが無く | 不必要なおしゃべり・誤語・噂話・誇張を避ける「正語」の実践。 |
悪い心 | 嫉妬・怒り・貪欲・欺瞞など、心を曇らせる不善の状態。 |
瞑想(ディヤーナ) | 精神を統一し、清らかに保つ修行。真理に近づくための核心的行為。 |
塵垢(アスラヴァ) | 煩悩や心の汚れを象徴。真理の光を遮るもの。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
欲望を捨て、沈黙の中に身を置き、
悪しき思いを心から一掃し、
深い瞑想によって内面を清め、
もはや塵ひとつないほど澄みきった精神の持ち主――
そのような人物こそ〈真のバラモン〉とされる。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は「行動の静寂」と「心の浄化」の両方を強調しています。
現代人が常に情報にさらされ、言葉や欲望に満ちた社会に生きているからこそ、「内なる静けさ」こそが本質であるという仏教的メッセージが強く響きます。
「喋らない」「求めない」「反応しない」とは、無関心ではなく、すべてを知ったうえで沈黙する智慧の現れ。
それは真のリーダーや成熟した人物が備えるべき最終的な姿でもあります。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
静寂の力 | 無駄な発言をせず、本質を見極めて行動する人物は信頼される。 |
執着の手放し | 昇進・称賛・勝敗に固執せず、目的に集中する働き方。 |
内面のクリアさ | ネガティブな感情や怒りに支配されず、落ち着いて判断を下せる力。 |
沈黙のリーダーシップ | 騒がず、誇らず、控えめながら影響力を放つ人物像。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「語らず、欲せず、ただ静かに澄む」
欲望は去り、言葉は止み、
心の闇も、怒りも、消え去った。沈黙の中にこそ、真の智慧は宿る。
清らかな心で立つ者こそ、
世界を導く静かな光である。
この句は、「沈黙と清浄の完成形」とも呼べる境地を示します。
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