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楽しみは、静けさと慎みの中にある


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■原文(九)

もしも楽しく生きようと欲するならば、
修行者のつとめに注視して、
蛇が鼠の隠れている穴に近づくように、
臥処(がしょ)をさがして実践せよ。


■逐語訳

  • 楽しく生きようと欲するならば:心安らかに、満ち足りて生きたいと願うなら。
  • 修行者のつとめに注視して:修行者が果たすべき日々の務めに心を向け、怠らず精進しなさい。
  • 蛇が鼠の穴に近づくように:静かに、慎重に、油断なく行動せよという比喩。
  • 臥処をさがして:自らが安らぎを得られる場所・姿勢・環境(物理的にも精神的にも)を探し求めよ。
  • 実践せよ:ただ理解するのではなく、具体的に行動に移し、日々実行に努めよ。

■用語解説

  • 修行者のつとめ:仏道においては「戒・定・慧(三学)」を指し、道徳・集中・智慧の三つの柱。
  • 蛇と鼠の比喩:一瞬の油断が命取りになる関係性を指し、「一心に集中することの重要性」を強調する。
  • 臥処(がしょ):物理的な休息の場であり、比喩的には「心が落ち着ける場・状態」。

■全体の現代語訳(まとめ)

もしあなたが、平穏で幸福な人生を望むのであれば、まず修行者の務め(=日々なすべき行い)に心を集中させなさい。
そのときは、まるで蛇が獲物である鼠の隠れ場所に近づくように、細心の注意と集中をもって、静かに臥処(心安らぐ場所)を求め、怠らず実践に励みなさい
そうすれば、真の楽しみと安らぎに出会うだろう。


■解釈と現代的意義

この句は、**「安らぎや幸福は、慎重な集中と地道な実践の中にある」**という真理を語っています。
“楽しさ”をただ娯楽や刺激の中に求めていては、真の充足は得られません。
逆に、日々の小さな習慣・勤勉・静かな努力――そうした積み重ねの中に、深い心の充実がある。
この句は、「楽を求めるのではなく、慎みと注意によって楽に至れ」という人生観を提示しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用
習慣と継続毎日の地味な仕事・鍛錬の中にこそ、将来の成長と楽しさが宿る。成果の裏には必ず“忍耐と集中”がある。
リスク管理蛇のように慎重に物事に近づくことで、予測可能な失敗を回避できる。無防備な行動は破滅のもと。
ワークライフバランス楽しさや安らぎは、外から与えられるものではなく、「意識的に整えた内的な場」から生まれる。
リーダーの姿勢鋭い観察と忍耐を持ち、焦らず確実に行動することが、部下や組織への信頼につながる。

■心得まとめ

「安らぎは、慎みと集中の先にある」

真に楽しく、満ち足りた人生を望むならば――
浮ついた楽しさに流されるのではなく、日々の務めを静かに、細心の注意をもって実践すること。
そして、自分にとっての「心の臥処」を見出すこと。
幸福とは、準備と注意と地道な実践のなかで、ひそかに熟していく果実である。


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