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圧倒的な存在の前では、理性も心も揺らぐ


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■原文(第11章 第24節)

天空にまで届き、燃え上がり、様々な色を放ち、口を開け、
燃えるような巨大な眼をもつあなたを見て、
私は心から恐怖し、平静さも安らぎも見出せません。
ああ、ヴィシュヌよ!


■逐語訳(一文ずつ訳す)

  • あなたは天空にまで達し(ナバスプルシャン)、
  • 炎のように燃え上がり(ジャヴァラ)、
  • 多くの色を放ち(バフヴァルヴァルナ)、
  • 大きく開いた口を持ち(ヴィクターナナ)、
  • 燃えるような巨大な目を持つ(ディプティマント・マハーナヤナ)。
  • 私はあなたを見て、(トヴァーム・ドリシュトヴァー)
  • 心から恐れ、(プラヴィシュトアートマー)
  • 冷静さ(ダリヤム)も、平安(シャーンティ)も、見出せません(ナ・ラブハーミ)。
  • ヴィシュヌよ(ヴィシュノ)!

■用語解説

用語解説
天空に達する(ナバスプルシャン)神の姿が宇宙全体を覆い尽くすスケールの大きさを象徴。
燃え上がる破壊・浄化・力の象徴。神の活動性や威圧感を表す。
多色(バフヴァルヴァルナ)神の無限性・多様性の視覚的表現。
ヴィクターナナ(口を開く)飲み込み、終末をもたらす恐ろしい面の象徴。
燃える目神の見通す力、または審判・威光の象徴。
ヴィシュヌ維持と保護を司る神。ここでは宇宙の主としての神的な全貌を表す名で使われている。

■全体の現代語訳(まとめ)

天空にまで届くその姿は、燃え上がり、多様な色に輝き、
口を大きく開け、燃えるような巨大な眼で世界を見つめている。
このようなあなたを見て、私は心の奥底から震え上がり、
もはや冷静さも安らぎも保つことができない――ああ、ヴィシュヌよ。


■解釈と現代的意義

この節は、「神の全体性には、人間の理解を超える畏怖の側面がある」ことを示します。

それは単に“優しい神”ではなく、
美しさと恐ろしさ、多様性と統一、保護と破壊を同時に内包する存在。

アルジュナの心の動揺は、
「知識としての神」ではなく「体感としての神」に直面したときの、
理性を超える魂の震えであり、
それは現代における“人間の限界を超えるもの”との接触にも通じます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
スケールの大きさが与える影響グローバル展開や巨大プロジェクトでは、関係者の感情や心理的耐性も考慮すべき。
リーダーの影響力強すぎるカリスマ性は、時に恐怖や混乱をもたらす。意図的に「安心」を設計する必要がある。
人間の限界の自覚テクノロジーやAIなど、理解を超える力に触れたとき、自身の冷静さを保つための準備が必要。

■心得まとめ

「理解を超えるものに直面したとき、人は畏れ、揺れる」

圧倒的な存在の前では、人の心は動揺する。
しかしその震えの中にこそ、
真に畏敬すべきものを知る契機がある。
ビジネスにおいても、想定外のスケールや権威に触れたとき、
人は冷静さを保てるかどうかで、大きく道が分かれる。
準備と覚悟が、畏怖を力に変える鍵となる。

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