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怒りに身を任せれば、善も悪となる


目次

📜 引用原文(日本語訳)

第二〇章 怒り四
「怒りたけった人は、善いことでも悪いことだと言い立てる*が、
のちに怒りがおさまったときには、火に触れたように苦しむ。」
*=原文は「善いことをも、悪いことと叫ぶ」


🔍 逐語訳(逐語・一文ずつ訳)

  1. 「怒りたけった人は、善いことでも悪いことだと言い立てる」
     怒りが激しい人は、正しいことや善意の行為すらも、非難の対象とし、悪意にすり替えてしまう。
  2. 「のちに怒りがおさまったときには、火に触れたように苦しむ」
     怒りが鎮まった後、その時の言動を思い出して、自らの行いに強い後悔と苦悩を覚える。

🧩 用語解説

  • 怒りたける(たけり狂う):怒りに我を忘れて、理性や判断力を完全に失った状態。
  • 善いことを悪いことと言い立てる:真実や善意に背き、感情的に否定する行為。
  • 火に触れたように苦しむ:激しい後悔・羞恥・自責の念を意味する比喩表現。

📝 全体の現代語訳(まとめ)

怒りに我を忘れた人は、正しいことさえ否定し、善意をも傷つける。しかし怒りが過ぎ去った後には、かえって自分自身の言動に対して深い後悔と苦痛を感じることになる。怒りの瞬間に発した一言が、後に大きな火傷となって自分自身を苦しめる。


💡 解釈と現代的意義

この詩句は、「怒りに支配されたとき、人はどれほど愚かになりうるか」を端的に描いています。感情の高まりの中では、事実が歪み、善悪の判断が逆転する。そして怒りが冷めたあとには、「なぜあんなことを言ってしまったのか」と、強烈な後悔が襲ってくる。この繰り返しを断つには、怒りが湧いた瞬間に自覚し、反応する前に「間を置く」力が必要です。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
コミュニケーションの質感情的な口調や決めつけは、たとえ事実であっても相手に伝わらず、信頼関係を壊す原因となる。怒りのまま話すのではなく、冷静な視点を取り戻してから対話することが重要。
クレーム・対立対応顧客や同僚の言動に「善意」がある可能性を見失うと、建設的な対応ができなくなる。感情ではなく意図を汲む姿勢がカギ。
自己認知・反省怒りによる過剰反応を繰り返すと、周囲からの信頼や評価を損ない、自分自身のキャリアにも悪影響が及ぶ。反応の前に振り返る習慣を持つことが大切。
リーダーの器量部下の失敗や違和感をすぐに「悪」と断じず、一歩引いて全体像を見極めることが、真のリーダーシップに繋がる。

🧠 心得まとめ

「怒りの刃は、自らをも傷つける」

怒りに任せて発した言葉は、善意を裏切り、信頼を壊し、そして後で自分を焼き尽くす。「今、これは怒りによる判断ではないか?」と気づく冷静さこそが、人間としての成熟である。感情の炎に飲まれず、静かに真実を見極める勇気を持とう。

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