目次
📜 引用原文(日本語訳)
第二二章 地獄 三一九偈
遠ざけるべきこと(=罪)を遠ざけるべきであると知り、遠ざけてはならぬ(=必ず為さねばならぬ)ことを遠ざけてはならぬと考える人々は、正しい見解をいだいて、善いところ(=天上)におもむく。
――『ダンマパダ』第二二章「地獄」三一九偈
🔍 逐語訳
- 遠ざけるべきこと(=罪):悪行・欲望・怒り・欺瞞など、害と苦しみを生む行為や思考。
- 遠ざけてはならぬこと(=必ず為さねばならぬ):善行・誠実・責任・慈しみなど、修行者として、人間として果たすべき正しい実践。
- 正しい見解(サンマー・ディッティ):仏教の八正道の最初に位置する「正しい理解・価値判断」。
- 善いところ(=天上)におもむく:善業の果として、精神的安穏・幸福・さらには天界への転生が得られる。
🧩 用語解説
- サンマー・ディッティ(正見):因果の道理・四諦の理解・業報の認識を含む、仏教における根本的な智慧。
- 罪(アクサ・カンマ):自己中心的欲求に基づく害悪の行為。三毒(貪・瞋・痴)に由来。
- 天上(デーヴァ・ローカ):善行の結果として生まれ変わる、喜びと平和に満ちた境涯。象徴的に「精神的な高次元」とも解釈される。
🗣️ 全体現代語訳(まとめ)
何を避けるべきか、何を実践すべきかを正しく理解し、その通りに行動する人は、正見(正しい智慧)を得て、やがて幸福と安らぎの境地に至る。
それは、自他ともに苦しみを減らし、善を広める生き方であり、その果として、現世的にも精神的にも高みに至ることができる。
🧠 解釈と現代的意義
この偈は、前の偈(318偈)の反転的メッセージであり、誤った道を歩む者が地獄に至るなら、正しく生きる者は必ず報われるという希望と真理を説いています。
私たちの日常は、「これくらい大丈夫」「やらなくてもいいだろう」という甘えと、「本当は避けるべきなのに楽だからやる」という誘惑に満ちています。
その中で、自らの内なる倫理と正義に従って行動する人こそが、本物の成功者であり、魂の成長者なのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
長期的信頼の構築 | 不正や手抜きを徹底的に避け、必要な努力・説明・責任から逃げないことが、結果として大きな信頼と成果につながる。 |
判断力と倫理 | 「やってはいけないこと」と「やらねばならぬこと」の区別を見極め、実践できるリーダーが求められている。 |
組織文化 | 善を善として称賛し、悪を悪として抑制する風土が、健全で持続可能なチームを育てる。 |
真の成功 | 見かけの利益よりも、「正しいか」「後悔しないか」という軸で行動を選べることが、誠実な企業文化を生む。 |
🧘 心得まとめ
「正しく知り、正しく為す者は、安らぎの空へと昇る」
何を避け、何を為すか――その判断を誤らぬ者は、
心に混乱も、行動に悔いもない。
日々の小さな正しさが、
やがて大きな幸福への道を開く。
それが、真の智慧と行動の報いである。
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