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見ているつもりでは、真実には触れられない


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📖引用原文(日本語訳)

すがたを見ることは、すがたをさらに吟味して見ることとは異なっている。
ここに両者の異なっていることが説かれる。
昼が夜と異なっているようなものである。
両者が合することは有り得ない。
――『ダンマパダ』 第二七章「観察」第三十七節


🧩逐語訳と構成的解釈

  • すがたを見る:単に対象の姿形や表面的な様子を捉えること。
  • 吟味して見る:本質・背後・因果関係・動機・構造など、深層を理解しようとする観察の行為。
  • 昼と夜ほど異なる:両者は性質も影響もまったく違い、互換できないレベルの違いを表す比喩。

この節では、「視る(見る)」と「観る(みる)」の違い、つまり
知覚と洞察の違いが語られています。
「見えていること」と「理解していること」は全く違う――という真理です。


🧠用語解説

用語解説
すがた(形体)視覚的に見える対象の外見。人や物、状況の表面上の姿。
吟味して見る(パリッチャガ)注意深く観察し、判断し、本質や意味を理解しようとする行為。
昼と夜明暗、認識の有無、真理と迷妄など、完全に異なる認識状態の対比。

🪷全体の現代語訳(まとめ)

ただ表面的に物事を見ているだけでは、
本質は決して見えてこない。

「見ること」と「深く観ること」は、
昼と夜ほどに違っており、
その二つが同時に成り立つことはない。

人は、ただ視るのではなく、
見抜く目を養わなければならない。


🌱解釈と現代的意義

この節は、表面を見ることと、本質を観ることの違いを明確にします。
情報過多の現代では、「見たつもり」になってしまうことが非常に多く、
真実に触れないまま誤った判断を下すことが日常茶飯事です。

本当に「見ているか?」を常に問うこと――それが思慮深さの核心です。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用例
現象と原因の識別問題の「見える部分」(売上の減少)に惑わされず、「なぜそうなったか」(顧客心理、内部構造など)を深く観察する必要がある。
データと洞察数字やグラフを見るだけでは足りない。「その数字の背後にある現実」を読み取れるかどうかが決定的。
人材評価表面的な成果・印象に流されず、行動原理・価値観・潜在能力を見る「洞察力」が重要。
意思決定の質情報を「見ているだけ」のリーダーと、「本質を観ている」リーダーでは、判断と行動が根本から異なる。

📝心得まとめ

「ただ見るな。見抜け。」

目に映るものは、真実のほんの皮膚にすぎない。
それを鵜呑みにせず、心で観よ。

見えていると思っている自分こそ、
実は何も見えていないのかもしれない。

表層ではなく、真相を観る眼こそ、
真理に近づく力となる。


この第三十七節は、これまでの「見る/見ない」のテーマにさらなる深みを与えるものであり、観察と洞察のレベル差を示す重要な一文です。

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