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学びなく、行いなくして、道は語れない


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■引用原文(日本語訳)

九 もしも或る人が学問も少なく、また徳行にも専念していないならば、
世の人々は(学問と徳行と)両方の点でかれを非難する。
その人の誓戒は完全に身に具わっているのではない。
――『ダンマパダ』 第二二章 第九節


■逐語訳

  • 学問も少なく:知識の習得も浅い。物事の理を知らず、学びの意欲も弱い。
  • 徳行にも専念していない:行動の倫理性や誠実さも欠いている。
  • 人々は両面で非難する:知も徳も欠いた者は、社会的にも精神的にも信頼を得られない。
  • 誓戒が身に具わっていない:自らの内面に倫理・規律・理想が根づいていない状態。

■用語解説

  • 誓戒(シーラ):仏教における倫理の基本。五戒・八戒・十善戒などに代表される「生き方の規律」。
  • 非難(パリバーンダナ):人々からの批判・信頼喪失・社会的な信用の欠如。
  • 完全に具わる:知識や戒めが、思考・感情・行動に至るまで統合され、人格の一部となっていること。

■全体の現代語訳(まとめ)

もし、学問もせず、徳も積まずに生きている人がいれば、
人々はその人物を「知識がない」「行動も正しくない」と両面から批判することになる。
そのような人は、誓いも、倫理も、人格として備わっているとは言えない――
と仏陀は明確に警告している。


■解釈と現代的意義

この詩句は、知識の欠如と実践の欠如が重なると、人は社会的にも精神的にも信頼されないという厳粛な真理を語っています。
いかに社会の中で表面的にうまく振る舞っても、内に「学び」も「行い」もなければ、やがてそれは露呈します。

現代においても、知識偏重または実務偏重のどちらかに偏りがちですが、人格として信頼されるには知と徳の調和が不可欠です。
この節は、それを失ったときの危うさを私たちに警告しているのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
人材評価スキルも誠実さも欠いた人は、どの業界・職種でも信用されない。人格を築く努力が不可欠。
組織文化学びを放棄し、倫理も軽視した組織は信頼を失い、顧客離れ・人材流出につながる。
リーダー像指導者としての「学ぶ姿勢」も「模範となる行動」も持たぬ者は、影響力を失う。
自己点検「自分には知識が足りているか?」「行動は誠実か?」を定期的に省みる習慣が、人格の基礎を築く。

■心得まとめ

「学ばず、行わず――その姿に誰もついてこない」

人は完全ではないが、学ぼうとする意志と、正しくあろうとする努力があれば、そこに成長の道がある。
しかしそのどちらも欠いてしまえば、人格は崩れ、社会的信頼も失われる。
だからこそ、今日一日を、学びと実践の種で満たそう。それが誓戒を「生きた力」とする唯一の道である。

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