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思い上がりが和を乱す


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📜 引用原文

第一四章 憎しみ 五
「この僧団が分裂しようとしていたときに、
もしも汝らがそれぞれ『その人が最もすぐれている』と考えるのであるならば、
(分裂をもたらす)それぞれ別々の声が挙がったのである。
汝らが『その人が最もすぐれている』と思い上って考えるのであるならば。」
— 『ダンマパダ』


🔍 逐語訳

この僧団(僧伽=サンガ)が分裂しようとしたとき、
それぞれの者が「自分の支持する人こそが最も優れている」と考えたならば、
当然、各人が異なる声をあげることになり、
それが分裂の原因となった。
つまり、「その人が最もすぐれている」と思い上がる考えが争いを生んだのである。


🧩 用語解説

  • 僧団(サンガ):仏教修行者の共同体。協調と調和を重んじる場。
  • 分裂:一体性が失われ、派閥や対立が生じること。精神的・組織的な崩壊。
  • 最もすぐれている:評価・尊敬の対象を「唯一正しい」と過信すること。
  • 思い上る(慢):自分の判断が正しいと過信し、他者を見下す態度。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

僧団の中に分裂の兆しが生まれたとき、
各人が「自分が支持する人物こそが最も優れている」と考え、
互いに異なる主張を掲げて争い始めた。
こうした思い上がりと独善的な判断が、
本来一つであった共同体をバラバラにしてしまったのである。


🧠 解釈と現代的意義

この句は、「信じる人や意見が違うからといって、敵になる必要はない」
という深い警句です。

対立の原因は、必ずしも「真理の違い」ではなく、
「自分の判断が唯一正しい」と思い上がる心にあります。
人間のエゴが組織を分断し、互いの良さを否定し合うようになるのです。

この教えは、宗教・政治・ビジネス・家族関係を問わず、
すべての集団に通じる「対立と崩壊の根源」を鋭く指摘しています。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での活用例
チームマネジメント「あの人のやり方こそ正しい」と過信すれば、他者の意見や能力を排除してしまい、チームの協調が壊れる。
組織内対立の抑止部門間・個人間で「自分たちこそ優れている」という比較意識が強まると、対話よりも分断が進む。
リーダーの姿勢自派閥の擁護に偏ると、公平性を欠き、組織全体が信頼を失う。中立で謙虚な態度が必要。
評価の多様性「誰が一番か」ではなく、「それぞれの価値は何か」を問い直す文化が健全な組織をつくる。

🧭 心得まとめ

「誰かを高く持ち上げすぎると、他を押し下げる手になる」
「一つになることは、誰か一人に従うことではない」

この句は、私たちに**「唯一絶対の評価」を捨てよ**と語りかけます。
「最も優れている」の言葉の裏には、他を貶める無意識が潜んでいます。

現代の職場でも、家庭でも、
「誰が正しいか」よりも「どうすれば共に働けるか」を問い直す姿勢が求められます。
分裂の種は、常に「思い上がり」によって撒かれるのです。

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