目次
1. 課税所得とは
課税所得とは、法人税等(法人税、住民税、事業税)の計算基準となる「税法上の利益」です。
計算式:
法人税等 = 課税所得 × 税率
- 会計上の利益 = 収益 – 費用
- 課税所得 = 益金 – 損金
益金・損金とは:
- 益金: 税法上の収益。
- 損金: 税法上の費用。
2. 課税所得の計算プロセス
会計上の利益(税引前当期純利益)を基に、税法と会計上の違いを調整して課税所得を算定します。
主な調整ポイント:
- 損金不算入: 会計上は費用だが、税法上は認められない項目。
- 例: 減価償却費の償却限度超過額、引当金の繰入限度超過額。
- 損金算入: 会計上は費用に含まれないが、税法上は認められる項目。
- 例: 貸倒損失認定損。
- 益金不算入: 会計上は収益だが、税法上は認められない項目。
- 例: 受取配当等の益金不算入額。
- 益金算入: 会計上は収益に含まれないが、税法上は認められる項目。
- 例: 売上計上漏れ。
3. 調整の具体例
(1) 減価償却費の償却限度超過額
- 取得原価240,000円、残存価額0円、定額法で計算。
- 会計上(耐用年数4年): 減価償却費 = 240,000 ÷ 4 = 60,000円
- 税法上(耐用年数6年): 減価償却費 = 240,000 ÷ 6 = 40,000円
- 差額 20,000円 → 損金不算入
(2) 会計上の利益と税法上の利益の違い
- 収益(益金): 100,000円
- 費用(減価償却費):
- 会計上: 60,000円
- 税法上: 40,000円
計算例:
- 会計上の利益 = 100,000 – 60,000 = 40,000円
- 法人税等 = 40,000 × 40% = 16,000円
- 税法上の利益(課税所得) = 100,000 – 40,000 = 60,000円
- 法人税等 = 60,000 × 40% = 24,000円
4. 課税所得の算定方法
課税所得は、以下のように計算されます:
課税所得 = 会計上の利益 + 損金不算入項目 - 損金算入項目 - 益金不算入項目 + 益金算入項目
5. 法人税等の計算方法
法人税、住民税、事業税を含む法人税等は、課税所得に対して実効税率を掛けて算出します。
計算式:
法人税等 = 課税所得 × 実効税率
- 実効税率: 法人税、住民税、事業税の実質的な税率。
6. 課税所得計算の目的
- 会計の目的: 株主や投資家に経営成績や財政状態を報告。
- 会計上の利益は、会社の状況に応じた柔軟な会計処理が可能。
- 税法の目的: 公平な課税を実現。
- 税法上の損金・益金は、納税者間の公平性を確保するため統一基準を適用。
7. まとめ
- 課税所得 は、会計上の利益を基に税法上の調整を加えて算出されます。
- 損金不算入項目 などの調整があるため、会計上の利益と課税所得は一致しません。
- 法人税等 は課税所得に基づき、実効税率を適用して計算されます。
税務と会計の調整を正確に行うことで、公平な課税が可能になります。また、適切な調整が経営判断や財務報告にも重要な役割を果たします。
コメント