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怠りは焼けた鉄のように、自らを苦しめる


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📜 引用原文(『ダンマパダ』第31偈)

汝はつとめておれ。怠ることなかれ。
欲情の対象が汝の心を乱さないようにせよ。
怠りのゆえに鉄丸を呑むなかれ。
地獄では熱した鉄の玉によって焼かれながら、人は泣き叫ぶのだ。

(原語対応の意訳)
“Uṭṭhahatha, mā pamajjittha,
dhammaṃ sucaritaṃ caratha,
dhammacārī sukhaṃ seti
asmiṃ loke paramhi ca.”

(意味的に対応)


🪶 逐語訳(意訳)

  • お前は努力せよ。怠ってはならない。
  • 欲望の対象に心を乱されることがないように。
  • 怠慢の結果として、焼けた鉄の丸を呑むことになってはならない。
  • 地獄において、それを呑む者は、激しく苦しみ泣き叫ぶ。

📘 用語解説

用語解説
つとめておれ(精進)仏教で最も重要な実践態度の一つ。怠惰を離れ、常に気を引き締めること。
なおざり(放逸)精神的に怠り、善行・戒律・集中から離れること。
欲情の対象(kāma-guna)五感を通して引き起こされる快楽的刺激。
鉄丸(āyasam-piṇḍa)仏教における地獄の象徴的苦痛。熱した鉄の塊を呑まされる苦しみを指す。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

怠ってはならない。
快楽や欲望に心を乱されてはならない。

もし怠け心に身を任せるならば、
やがて熱した鉄を呑むような苦しみに見舞われる。

人はその時になって、
泣き叫びながら後悔することになるのだ。


🔍 解釈と現代的意義

この偈は、怠惰に流された心がどれほど大きな代償を招くかを象徴的に描いています。

現代社会でも、次のような場面に当てはまります:

  • 小さな怠け心から始まる習慣の崩壊
  • 欲望に駆られての判断ミスや失言
  • 面倒を避けて後回しにした結果、大きなトラブルに発展するケース

仏教的には「放逸(ほういつ)」=油断した心の状態が最大の敵です。
そして、失った信用・信頼・心身の健やかさは、
たとえ泣き叫んでも戻らないことがある、という警鐘です。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
コンプライアンス意識欲望や誘惑に負け、ルールや倫理を軽視すれば、企業・個人ともに致命的打撃を受ける。
マネジメントと自律忙しさやストレスの中で「ちょっとぐらい…」と怠ると、積み重ねが組織崩壊の引き金に。
スタートアップ文化熱意と緊張感が命綱の環境では、怠慢はすぐに成果・信用の損失へとつながる。
リーダーの自己管理他人の行動以上に、自らの放逸が信頼の崩壊を招く。常に節度と誠実さを忘れないこと。

💡 心得まとめ(結びのことば)

「怠りは一時の甘さ、後悔は永遠の苦しみ。」
「心の油断が、やがて魂を焼く鉄になる。」

努力はしんどい。
規律は窮屈。
でも、それを怠った代償は鉄丸のように、耐え難く苦いものになる。

だからこそ――
今ここで、気を引き締めよ。
誘惑に負けぬ心こそ、未来の幸福と信頼の土台なのです。


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