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始まりに“聖音”を唱えることが、行為を聖化する

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■引用原文(日本語訳)

「それ故、ブラフマン(ヴェーダ)を説く人々の場合、常に『オーム』と唱えてから、教令に述べられた祭祀と布施と苦行の諸行為が始まる。」
――『バガヴァッド・ギーター』第17章 第24節

■逐語訳

それゆえ、ブラフマン(聖典)を知り、説く者たちは、
「オーム(ॐ)」という聖音をまず唱えてから、
聖典に定められた祭祀(ヤッニャ)、布施(ダーナ)、苦行(タパス)の行為を始める。
これは行為を神聖にし、整えるための前提である。

■用語解説

  • ブラフマン(ヴェーダ)を説く人々:ヴェーダを学び、実践し、他者にも教える聖職者・賢者たち(バラモン)。
  • オーム(ॐ):宇宙の創造・維持・破壊を包含する根源的な音。あらゆるマントラの出発点であり、聖なる始まりを意味する。
  • 教令に述べられた行為:ヴェーダ聖典により規定された、神聖な目的を持つ儀礼・施し・修養などの実践。
  • 始めに唱える:行為の前に「意識」と「方向性」を整える行動。集中と神聖化の儀式的意味を持つ。

■全体の現代語訳(まとめ)

だからこそ、ヴェーダの教えに従い祭祀・布施・苦行を実践する者は、
必ず「オーム」という神聖な言葉を唱えてから、それらを始める。
それは行為を聖なるものとして整え、動機を正しく保つための、重要な儀礼的準備である。

■解釈と現代的意義

この節は、「どんな行為も、始まりの意識づけがその価値を左右する」ということを説いています。
単なる儀式や習慣であっても、始める前に「何のためにやるのか」を自覚し、聖なる言葉をもって始めることで、
その行為全体が内面と結びついた精神的行為=ヨーガとなるのです。
現代においても、「仕事の前に一呼吸」「メールを書く前に意図を整える」といった“始まりの整え”は、行為の質を左右します。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
意図のセットアップ会議やプロジェクト開始時に「なぜこれを行うのか」を共有することで、チームの集中力と一体感が高まる。
始まりの儀式の力朝礼・冒頭の黙祷・スローガンの唱和などは、単なる儀式ではなく、精神の方向づけとして意味がある。
メール・提案書の冒頭ビジネス文書の冒頭に「目的」「価値」を明確にすることで、読み手の意識と誠意への感度が変わる。
習慣の整え方「始めの一呼吸」や「一言の言祝ぎ」は、日々の行動を機械的ではなく、心あるものへと変える装置となる。

■心得まとめ

「すべての行為に“はじまりの祈り”を」
オームとは、行動を始める前に心を整える“内なる合図”である。
それにより、行為は単なる作業でなく、魂と結びついた聖なる実践となる。
ビジネスにおいても、行動の前に目的と敬意を明確にすることが、仕事の質と信頼を高める鍵となる。

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