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隠れた欲望は、徳を腐らせる


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■原文(三)

善くない人々は、利益を得ようと願い、
修行僧らのあいだでは尊敬を得ようとし、
僧房にあっては物惜しみの気持を得ようとし、
他人の家に行っては供養を得ようとする。


■逐語訳

  • 善くない人々:徳が伴わず、偽善と欲望を内に秘める者。
  • 利益を得ようと願い:何かにつけ、自らの得(お金・地位・有利な立場)を追い求める。
  • 修行僧らのあいだで尊敬を得ようとし:徳もないのに聖者のように見られたがる。
  • 僧房にあっては物惜しみの気持を得ようとし:人から施しを受けつつ、自分は何も与えずにいたいという心。
  • 他人の家に行っては供養を得ようとする:訪問の目的も供物(物的報酬)を受け取ること。

■用語解説

  • 供養(くよう):仏教的には敬意とともに食物や物品を施すこと。ここでは「物をもらう」行為全般を象徴。
  • 僧房(そうぼう):僧侶の居住空間だが、現代的には「共同生活・組織内部」でも解釈可能。
  • 物惜しみの気持:与えずに受け取ろうとする、貪欲で独善的な態度。

■全体の現代語訳(まとめ)

善くない人間は、どこにいても自分の利益だけを追い求める。
学びの場では尊敬されようとし、仲間内では名声を得たがり、組織内では出し渋りながらも何かを得ようとする。
人のもとを訪れるときも、それは感謝や奉仕のためではなく、自らが何かを受け取るためである。
このような態度は、表面は謙虚でも、内実は利己的な欲望にまみれている。


■解釈と現代的意義

この句は、宗教的立場に限らず、表面的な善人のふるまいの裏にある打算を鋭く指摘しています。
私たちも、自己利益のために善意を装うことがないだろうか。
「与えるふりをして奪う」「謙遜を装って承認欲求を満たす」――そのような矛盾が、人と組織の信頼を静かに崩壊させる。
真の善とは、無償性誠実さの中にしか宿らない。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用
利益偏重の姿勢一見すると「協調的」「貢献的」だが、実は利益や称賛が欲しいだけという人は、信頼を失いやすい。
社内政治表向きは「チーム思い」だが、裏で自分のポジションや評価を操作しようとする行動は、組織をむしばむ。
顧客対応奉仕の態度で接しているようで、実は売上・利益ばかりを考えている営業姿勢は、顧客の心を離れさせる。
真のリーダー像利益よりも信頼を、承認よりも責任を取る者こそが、長く評価されるリーダーとなる。

■心得まとめ

「欲望を隠して善を装えば、信頼は必ず剥がれる」

表面的な謙虚さや善行に満足してはいけない。
与える者が真に「無欲」でなければ、それはただの取り引きであり、善ではない。
ビジネスにおいても、誠実な貢献なくして信頼は築けない。
**得ようとする前に与える。**それが「真の信用」と「継続的成果」への道なのです。

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