MENU

敬う心が、人生を豊かにする


目次

■引用原文(日本語訳)

第二三章 象(三三二)
世に母を敬うことは楽しい。
また父を敬うことは楽しい。
世に修行者を敬うことは楽しい。
世にバラモンを敬うことは楽しい。

*バラモン:ここでは、出自にかかわらず、精神的・道徳的に完成された聖者を指す。


■逐語訳

  • 母を敬うことは楽しい:母親に対して感謝と尊敬の心を持つことは、精神的な安らぎと喜びをもたらす。
  • 父を敬うことは楽しい:父に対しても同様に、敬意と恩を感じる心が、喜びとなる。
  • 修行者を敬うことは楽しい:徳と戒律を守り、修養に努める人物(沙門)への敬意は、自らの徳を高める。
  • バラモンを敬うことは楽しい:道徳的・精神的に完成された聖者への尊崇は、自己を清める行いとなる。

■用語解説

用語解説
敬う(ガルカ)単なる礼儀や形式ではなく、心からの尊重と感謝を込めた態度。
母・父生命を与え、育てた存在。仏教では両親への孝養は最も尊い善行の一つとされる。
修行者(沙門)煩悩を離れ、自己修練に努める出家者。内面の努力と人格の完成を目指す者。
バラモン仏教では階級ではなく、「智慧と徳を備えた完成者」を意味する。聖者・導師の象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

人生において、母を敬うことは心を温かくし、父を敬うこともまた精神を豊かにしてくれる。
徳を備えた修行者を敬うことは、自らの心を清め、
道徳的に完成された人(バラモン)への敬意は、魂に深い喜びを与える。


■解釈と現代的意義

この章句は、「尊敬の対象を持つこと」そのものが人間の心を成熟させ、幸福につながるという仏教の基本思想を伝えています。
現代では「自分らしさ」「自由」が重視される一方で、「誰を敬うか」「誰に頭を下げるか」が希薄になりがちです。
しかし、仏教ははっきりと、「敬意を持てる対象」があることが、人生に秩序と喜びを与えると説きます。

特に、

  • 両親への孝養
  • 精神的修練者(ロールモデル)への敬意
  • 高徳な人物への謙虚な姿勢

は、自己を高め、社会との調和を生む生き方の根本です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
価値観の基盤としての敬意親や師、人生の先輩に対する敬意の心は、誠実なビジネス態度の土台を作る。
メンターシップ優れたリーダーや人物への尊敬の念を持ち、それを内面の成長につなげる姿勢はキャリアを支える。
企業文化の育成感謝や敬意を重んじる文化が、長期的な信頼と組織の安定につながる。
謙虚さの醸成自分の力だけで成功したと思わず、恩を意識することで傲慢さを避け、成熟した人間性を育む。

■心得まとめ

「敬う心が、あなたを育てる」

母を敬い、父を敬い、
自己を高めようとする人や、智慧を備えた人を敬う。
その敬意こそが、あなた自身の心を豊かにし、人生を静かな喜びで満たしてくれる。
ビジネスにおいても、リーダーや先達、支えてくれる人への敬意が、信頼と成長を生む鍵となる。
敬う心を失わないこと――それが、人としての器を決める。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次