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📖 引用原文(日本語訳)
一つの岩の塊りが風に揺がないように、
賢者は非難と賞讃とに動じない。——『ダンマパダ』第六章「賢い人」第81偈
🔍 逐語訳
- 岩の塊りが風に揺がないように:大地にどっしりと根を張る岩が、どんな風にもびくともしない様子のたとえ。
- 賢者は非難と賞讃とに動じない:賢明な人は、人から褒められても貶されても、心を乱さない。
🧾 用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
岩の塊り | 不動・安定・力強さの象徴。動じない心のたとえ。 |
風 | 外的状況、特に他者の言動や評価の象徴。 |
非難と賞讃 | 否定的な評価(悪口、批判)と肯定的な評価(称賛、賛美)の両極。 |
動じない(不動心) | 感情を波立たせず、冷静・平静でいること。 |
🌐 全体の現代語訳(まとめ)
たとえ風が吹き荒れても動かぬ岩のように、賢者とは、世間からの賞賛や非難に一喜一憂することなく、落ち着いて自己を保ち続ける人である。人の言葉に振り回されず、自分の良心と真理に従って生きる態度こそが、賢さの証である。
🧑🏫 解釈と現代的意義
この偈は、**「他者評価から自由になること」**の重要性を説いています。現代社会では、SNSの「いいね」や他者の意見に左右されやすい時代です。しかし真の成長や成熟は、周囲の声に流されることではなく、自分の内なる軸を保つことにあります。非難されても、称賛されても、自分が正しいと信じる行いを継続できるか――そこに人格の強さが現れます。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
テーマ | 解釈と応用 |
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フィードバックへの姿勢 | 褒められても慢心せず、叱られても落ち込まず、冷静に事実を見つめ行動する。 |
SNS・顧客評価との向き合い方 | 評判やレビューは参考にすべきだが、価値判断のすべてをそこに委ねない。判断軸は理念や方針に置くべき。 |
リーダーシップの安定感 | 部下や取引先からの反応に過剰に反応しない「安定した上司」は、信頼と安心感を生む。 |
意思決定の基準 | 賛成多数でも、真に正しいことを選ぶ勇気。逆風の中でも立ち続ける姿勢がリーダーの資質。 |
🧭 心得まとめ
「風が吹こうとも、岩は揺れない。人の言葉より、己の良心を信じよ」
非難されて心が乱れ、賞賛されて舞い上がる――それでは真の自由は得られない。どんな声にも動じない静かな強さ、それが岩のような心。不動の精神を持つことで、賢者は静けさと信頼を手に入れるのだ。
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