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■原文(出典:『ダンマパダ』第十七章 第二偈)
白鳥は太陽の道を行き、
感官を制御した人々は虚空を行き、
心ある人々は、悪魔の軍勢にうち勝って
世界から去って行く。
■逐語訳
- 白鳥は太陽の道を行く:白鳥(修行者の象徴)は、高く光ある方向(真理・解脱)へと飛び立つ。
- 感官を制御した人々は虚空を行く:五感を制し欲望に動かされない人は、執着の世界を超えて空(くう)を行くように生きる。
- 心ある人々は、悪魔の軍勢にうち勝ち:意識ある修行者は、欲望・怒り・無知(煩悩)の軍勢=魔軍を制する。
- 世界から去って行く:生死・苦悩・輪廻(サンサーラ)を脱して、真理に至る。
■用語解説
- 白鳥(ハンサ):ヒンドゥー教や仏教で“魂”や“修行者”の象徴。光明・知性に向かって飛翔する存在。
- 太陽の道(スーリヤ・ヤーナ):光に満ちた悟りへの道。闇を照らし、高みへと導く進路。
- 虚空(アーカーシャ):物質的制限を超えた領域。五感の束縛を離れた自由な存在の比喩。
- 悪魔の軍勢(マーラの軍):欲・怒り・慢・疑・無知など、悟りを妨げる内なる敵。
- 心ある人(般若ある者):智慧と意識を持ち、修行の道を自覚している者。
■全体の現代語訳(まとめ)
白鳥が太陽の方向へ高く飛翔するように、真理を目指す修行者は精神的に高次の道を進む。
感官を制御した者は、欲望や感情に振り回されず、空(くう)のように軽やかで自由に生きる。
そして、内なる煩悩の軍勢に打ち勝った人は、この苦しみに満ちた世界を離れ、静かに悟りへと旅立つ。
■解釈と現代的意義
この詩句は、感覚や欲望にとらわれない生き方が、自由と解脱の鍵であると説いています。
心を制し、執着を断った人は、物質的な世界の重力を超えて、内面的に「飛ぶ」ことができます。
現代の世界でも、外の情報・評価・誘惑に流されず、自分の内にある真理へ向かう人こそ、真に自由な存在といえるでしょう。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
感情コントロール | 怒り・欲・不安に振り回されず、冷静に判断するリーダーが組織を導く。 |
ブレない軸 | 成功・失敗・称賛・批判に揺れず、「自らの使命」に基づいて行動できる人物は信頼される。 |
セルフマネジメント | 情報過多な社会の中で、誘惑に溺れず、自分の目標に集中できる力は価値が高い。 |
戦略と精神性 | 競合・外圧・内部対立など「見えない敵」に勝つのは、精神的な強さと洞察力である。 |
■心得まとめ
「空を行くように生きよ。欲望の軍に勝ち、光の道を行け」
混乱と欲望に満ちたこの世界で、自分を制御できる人は少ない。
だが、心を磨き、執着から離れ、静かに真理を目指す者は、
やがて高く自由な世界へと飛翔する。
ビジネスにおいても、自己統制こそが最大の競争力となる。
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