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和を尊び、礼で節する ― 親しき仲にもけじめあり

人と人との関係において最も大切なのは、和やかで調和の取れたあり方である。しかし、ただ仲良くすることが目的ではない。

そこにけじめとしての「礼」がなければ、和はすぐに崩れ、秩序は保てない。

古の聖王たちが偉大であったのも、和を尊びながら、それを礼によって正しく制していたからである。

物事が小さくとも大きくとも、すべてはこの礼と和の調和に基づいて運ばれなければならない。

和やかさと節度は両立する。真の調和とは、礼をもって守られるものである。

調和は礼によって整う──節度ある協調こそ組織を育てる力

目次

原文

有子曰、禮之用和爲貴、先王之 斯爲美、小大由之、有 不行、知和而和、不以禮節之、亦不可行也、

「礼(れい)を之(これ)用(もち)うるには、和(わ)を貴(たっと)しと為(な)す。先王(せんのう)の道(みち)も斯(こ)れを美(び)と為せり。小(しょう)大(だい)之に由(よ)りて行(おこな)わざる所(ところ)有(あ)り。和を知(し)りて和するも、礼を以(もっ)て之を節(せっ)せざれば、亦(また)行うべからざるなり」

現代語訳(逐語/一文ずつ訳):

  1. 「礼を之用うるには、和を貴しと為す」
     → 礼を実践するにあたっては、調和を最も尊いものとする。
  2. 「先王の道も斯れを美と為せり」
     → 昔の立派な王たちの政治も、この調和を美徳としていた。
  3. 「小大之によりて行わざる所あり」
     → どんな小さなことでも大きなことでも、すべてはこの調和を基本として実行された。
  4. 「和を知りて和するも、礼を以て之を節せざれば、亦行うべからざるなり」
     → 調和の重要性を知って調和を目指すとしても、それが礼によって節度をもたなければ、やはり行うべきではない。

※注:

  • 礼(れい):儀礼・礼儀作法にとどまらず、人間関係や社会秩序を整える規範。
  • 和(わ):調和、協調、人間関係の円満。
  • 貴し(たっとし)と為す:価値あるものとする。
  • 先王(せんのう):古代中国の理想的な王たち(堯・舜・禹など)。
  • 節す(せっす):適度に制限すること、調整すること。
  • 亦行うべからず:それでも実行すべきではない、という強い否定。

全体の現代語訳(まとめ):

礼の実践においては、何よりも調和を尊ぶことが大切である。

これは古の聖王たちの政治の中でも、美徳として重んじられていた。大小さまざまな事柄もすべて、この調和を基にして行われた。

しかし、ただ調和を求めるだけで、礼によってそれに節度がなければ、やはり行うべきではない。

解釈と現代的意義:

この章句は、調和(和)を重視することは善いことだが、それは“節度ある礼”によって制御されてこそ意味があるという教えです。

  • 「和」は心地よい人間関係を築くために大切だが、ただの迎合やなれ合いではいけない。
  • 「礼」によって、調和の在り方に節度と秩序を与えることが、社会や組織の健全さを保つ。

つまり、調和と秩序のバランスが成熟した社会や組織を支える鍵となる、という深い示唆が含まれています。

ビジネスにおける解釈と適用:

  1. 「和を貴しと為す」=チームワークや協調は組織の価値基盤
    • 社内外問わず、対立よりも協力・調和を重視する姿勢は組織の持続性を高める。
    • 無用な対立を避け、協力的な空気を育てることが重要。
  2. 「礼を以て之を節す」=調和に節度がなければなれ合いになる
    • 単なる迎合や空気読みではなく、適切なルール・節度があってこそのチームワーク。
    • 礼節をもって意見を述べる、立場を尊重しながらも必要な指摘をする。
  3. 「和を知っても礼を欠けば行うべからず」=無秩序な仲良し組織の危うさ
    • 上司と部下がフラットでも、けじめを欠けば組織が混乱する。
    • 礼を伴わない“和”は、自己都合や責任の不明確さを生み出す。
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