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過去に囚われず、いま持っている成果を育て、未来に備えるのが賢者の道

新しいことに手を出して大きな成果を狙うよりも、
すでに成し遂げたもの、今ある業(わざ)を着実に守り育てる方が、
はるかに堅実で成果につながる。

同様に、過去に犯した過ちや失敗をいつまでも悔やむのではなく、
そこから反省を導き出し、未来の誤りを防ぐための糧とするほうが、
より実りある生き方となる。

過去は変えられないが、そこから学ぶことで未来は変えられる。
そして「いま手の中にあるもの」を大切にし、育て、守ることこそが、
次なる成果への道をひらいていく。


原文とふりがな付き引用

未(いま)だ就(な)らざるの功(こう)を図(はか)るは、已(すで)に成(な)るの業(ぎょう)を保(たも)つに如(し)かず。
既往(きおう)の失(しつ)を悔(く)ゆるは、将来(しょうらい)の非(ひ)を防(ふせ)ぐに如(し)かず。


注釈(簡潔に)

  • 就らざるの功:まだ取り掛かっていない事業や計画、構想。
  • 成るの業:すでに実現し、動いている事業や成果。
  • 保つ:維持し、発展させること。
  • 既往の失:過去に犯した過ちや失敗。
  • 将来の非:未来に起こり得る誤りや失策。

パーマリンク案(英語スラッグ)

guard-what-you-have-learn-from-what-you-lost
「今あるものを守り、失敗から学ぶ」という本条のバランス思考を表したスラッグです。

その他の案:

  • build-on-success-prevent-future-errors
  • regret-less-prepare-more
  • focus-on-now-not-then

この章は、未来志向でありながらも足元を見つめる「実務の知恵」に満ちています。
新しい挑戦は尊いが、それに酔って足元をおろそかにしてはならない。
また、過去の失敗を悔いてばかりではなく、そこから学び、活かすことに意味があるという、現実的で前向きな教えです。

1. 原文

圖未就之功、不如保已成之業。悔既往之失、不如防將來之非。


2. 書き下し文

未だ就(な)らざるの功を図(はか)るは、已(すで)に成(な)るの業を保つに如(し)かず。
既往(きおう)の失を悔ゆるは、将来(しょうらい)の非を防ぐに如かず。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳す)

  • 圖未就之功、不如保已成之業。
     → まだ成功していない新たな功績を追い求めるより、
      すでに成し遂げた事業や成果をしっかりと守る方がよい。
  • 悔既往之失、不如防將來之非。
     → 過去に犯した失敗を悔やむよりも、
      これから起こり得る誤りを未然に防ぐことのほうが重要だ。

4. 用語解説

  • 未就の功(みじゅうのこう):まだ成し遂げられていない目標やプロジェクト。未達成の成功。
  • 已成の業(いせいのぎょう):すでに成果を上げた業績。達成済みの仕事・地位。
  • 既往の失(きおうのしつ):過去に犯した過ちや失敗。
  • 将来の非(しょうらいのひ):これから起こるかもしれない失敗や過ち。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

まだ成功していない新たな成果を狙うより、今ある成功や成果を確実に守る方が賢明である。
また、過ぎてしまった過去の失敗をいつまでも悔やむより、これから起こるかもしれない過ちを防ぐように努めることが、より実際的である。


6. 解釈と現代的意義

この章句は、「未来への欲望より、現在の堅実さを」
**「過去の後悔より、未来への予防を」**という、実践的で冷静な人生観を説いています。

  • 人はつい、さらなる成果や名声を求めて、新しい挑戦ばかりに目を向ける。
     しかし、それが原因で今ある実績や基盤を疎かにすれば、すべてを失いかねない。
  • また、過去の失敗に囚われていても、それは前には進まない。
     大切なのは、同じ過ちを繰り返さない知恵と備えである。
  • この章句は「慎重さ」と「堅実さ」、そして「学びを活かす姿勢」が人生を安定させると教えています。

7. ビジネスにおける解釈と適用(個別解説付き)

▪ 挑戦と守成のバランスが経営の鍵

スタートアップや新規事業開発では「未就の功(新しい目標)」に目が行きがちだが、
既存事業の顧客・品質・収益基盤の維持と強化なくして安定はない。

▪ 過去の反省は“備え”に活かせ

プロジェクトの失敗を振り返ることは大事だが、
それを活かして「リスク管理」「再発防止策」を講じることが本質。
“悔いる”だけでは価値は生まれない。

▪ リーダーシップに必要なのは「浮き足立たぬ姿勢」

派手な成果や目立つプロジェクトばかりを追うのではなく、
組織の“安定”や“信頼性”を保ち続けることが、真の力である。


8. ビジネス用の心得タイトル

「挑戦より堅守、後悔より予防──確実さが信頼と継続を生む」


この章句は、目新しさや派手な成功に目を奪われがちな現代において、
「今ある成果を尊び、未来に備える」という実直な態度こそが、長期的な信頼と安定を築く道であることを、明確に教えてくれます。

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