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苦言と苦難こそ、徳を磨く砥石

人は日々、耳に痛い忠告や、心にひっかかる出来事によって、徳を磨き、成長する。
これらは人生における「砥石」であり、自分を研ぎ澄ます機会である。
反対に、褒め言葉ばかりを浴び、何もかも思い通りに進んでいる状態は、
猛毒の中に身を置くようなもの。やがて必ず、自身を損なうことになる。
人は逆風に向かってこそ、まっすぐ高く飛べる。


「耳中(じちゅう)、常(つね)に耳に逆(さか)らうの言(こと)を聞き、
心中(しんちゅう)、常に心に払(ふ)るの事(こと)有(あ)りて、
纔(わず)かに是(こ)れ徳(とく)に進(すす)み行(おこな)いを修(おさ)むるの砥石(といし)なり。
若(も)し言言(げんげん)耳を悦(よろこ)ばし、事事(じじ)心に快(こころよ)ければ、
便(すなわ)ち此(こ)の生(しょう)を把(と)って鴆毒(ちんどく)の中に埋在(まいざい)せん。」


注釈:

  • 耳に逆らうの言…聞いていて不愉快な忠告や厳しい意見。心の防衛本能が拒否するが、実は必要な言葉。
  • 心に払るの事…心に引っかかる、納得できない出来事や不満。
  • 纔かに是れ…かろうじて〜によって。ここでは「ようやくこれによって」といった意。
  • 砥石(といし)…刃物を研ぐ石。比喩的に、人の徳や人格を磨くための試練や困難。
  • 鴆毒(ちんどく)…中国の猛毒。快楽や称賛に溺れてしまうことの危険さを強調。

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