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哀悼に占いは要らぬ

―『貞観政要』巻一より

🧭 心得

人の死を悼む心に、占いの吉凶を持ち込むべきではない。
太宗は、辰の日に哭く(な)いてはならないという迷信を理由に、弔問を拒む者が出ている風潮に強い懸念を示した。
真の礼は心からの哀悼にあり、占いや迷信によってそれを妨げるならば、礼ではなく風俗の堕落である。形式や迷信に惑わされず、人としての本義に従って行動すべきである。

🏛 出典と原文

貞觀(じょうがん)四年、太宗(たいそう)侍臣(じしん)に謂(い)いて曰(いわ)く、「比(このごろ)聞(き)くに、京(けい)の士庶(ししょ)にして父母(ふぼ)の喪(そう)に居(お)る者(もの)、乃(すなわ)ち巫書(ふしょ)の言(げん)を信(しん)じ、辰日(しんじつ)には哭(こく)せず、以(もっ)て此(これ)を吊問(ちょうもん)に辭(じ)す。忌(き)を拘(こう)え哀(あい)を輟(や)め、俗(ぞく)を敗(やぶ)り風(ふう)を傷(やぶ)り、極(きわ)めて人理(じんり)に乖(そむ)く。宜(よろ)しく州縣(しゅうけん)に令(れい)して、之(これ)を禮典(れいてん)に齊(ととの)うべし」と。

🗣 現代語訳(要約)

太宗は、親の葬儀において「辰の日に哭いてはいけない」という占いに従い、弔問を断る風習が都に広まっていることを憂え、礼典に基づいて正しく葬儀を行うよう地方に命じるべきだと語った。

📘 注釈

  • 巫書(ふしょ):占いや迷信に関する書物。
  • 辰日(しんじつ):十二支で表す「辰」の日。特定の行為に不吉とされることがある。
  • 哭(こく):声をあげて泣く。喪の儀礼における重要な表現。
  • 吊問(ちょうもん):死者に対する弔意を示すこと。弔問。
  • 人理(じんり):人としての道理。倫理。

🔗 パーマリンク案(英語スラッグ)

  • grief-over-superstition(主スラッグ)
  • 補足案:true-mourning-needs-no-omens / rituals-not-taboo / reject-false-taboos
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