小欲を捨て、大欲に生きる - 私たちは何のために働くのか?
「小欲を去りて大道に従う」――これは、古代中国の英主・唐の太宗が重んじた信念でもある。
◆ 小欲とは何か?
小欲(しょうよく)とは、目先の利益や快楽、自分だけの損得に基づく欲望を指します。
- 今日の売上を少しでも増やしたい
- 他人よりも少しでも得をしたい
- 苦労せず楽して稼ぎたい
こうした感情は、誰しも抱く自然な「人間の欲」ではありますが、それが人生の行動原理となってしまうと、心の視野は狭まり、長期的な成果や信頼を失いかねません。
◆ 大欲とは何か?
一方、「大欲(たいよく)」とは何でしょうか?
- 社会全体をよくしたい
- 顧客や仲間の人生を豊かにしたい
- 次の世代に誇れる仕事をしたい
- 歴史に名を残すような働きをしたい
これらは、単なる「自分の欲」ではなく、公共や未来に貢献しようとする高次の欲です。つまり、大欲とは「志」に近いものであり、小さな自己を超えた動機に生きる姿勢を意味します。
◆ 歴史が示す、大欲に生きる人々
歴史の偉人たちは、多くの場合、この「大欲」に生きた人々です。
- 渋沢栄一は、私利私欲ではなく「公益のための経済活動」を説いた。
- 松下幸之助は、「企業は社会の公器」と言い、豊かな社会づくりに命を燃やした。
- 孔子は「仁と義」に生き、教え子たちに高い徳を求めた。
彼らは決して欲がなかったわけではありません。むしろ「欲」があった。けれどそれは「小欲」ではなく「大欲」だったのです。
◆ 現代における「小欲」と「大欲」の選択
私たちがビジネスや日々の行動を選ぶとき、常にこの二択を迫られています。
- 短期的な売上を取るか、長期的な信頼を築くか
- 自分の損得で動くか、チームや社会のために動くか
- 目先の利益を取るか、未来への価値を創るか
小欲は、たやすく満たせます。
大欲は、時間と忍耐、そして信念が求められます。
しかし、本当の意味での喜びや誇りは、常に大欲の中にあります。
◆ 大欲に生きるための3つの行動指針
1. 【目先ではなく「10年後の自分」を基準に決断する】
大欲は時間軸が長い。「今どうか」ではなく「10年後にどう在りたいか」で判断すること。
2. 【自分以外のために動く】
お客様、社員、家族、未来の子どもたち。自分以外の「誰かの幸福」のために行動する習慣が、あなたの志を育てる。
3. 【日々、志を言葉にして磨く】
ビジョンを語る。使命を書く。志を形にする。言葉はやがて行動を導く。
◆ おわりに:あなたの「大欲」は何ですか?
今のあなたが抱えている「欲」は、小欲でしょうか?それとも大欲でしょうか?
- 小欲を追えば、心は濁り、他人を敵と見るようになります。
- 大欲を抱けば、心は澄み、他人を仲間として見られます。
私たちは皆、自分の人生の主役です。だからこそ、自分自身にこう問いかけてみましょう。
「私は、何のために働いているのか?」
「それは、誰のためで、どんな未来を創るのか?」
大欲に生きる人には、必ず仲間ができます。そして、その人の背中を見て、また志を抱く人が生まれていきます。
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