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盛徳の世には、才徳の士が集まる

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良き時代が、人を育て、英雄を生む

周の王朝が隆盛を誇った時代には、一つの家から八人の英才(はっし)が現れたと伝えられている。
その名は、伯達(はくだつ)、伯适(はくてき)、仲突(ちゅうとつ)、仲忽(ちゅうこつ)、叔夜(しゅくや)、叔夏(しゅくか)、季随(きずい)、季(詳細不明)である。

この「八士」は、その才能と徳を備え、周の政治や文化に大きな貢献をしたとされるが、彼らの実像については不明な点も多い
中には、同じ母が四度にわたり双子を産んだという伝説的な記述もあり、事実性に疑問を呈する説もある。

しかし、ここで注目すべきは「八士の実在性」よりも、周の世がいかに徳と文化を重んじ、人材を育てる風土にあったかという点である。
時代が安定し、礼が整っていたからこそ、才ある者が伸び、活躍の場が生まれたのである。

治まる世には才が栄え、才が栄える世には、道が行われる。

「語らずとも伝わる徳──名を列するに足る人であれ」

この章句は、国家の盛衰と人材育成の関係を静かに語っています。
**良き政治が行われる時代には、人もまた育ち、国の未来を担う者たちが続々と現れる――**そんな理想を、孔子は周の盛時に見ていたのです。

原文

有八士、伯達、伯适、仲突、仲忽、叔夜、叔夏、季隨、季(名不詳)。

書き下し文

八士(はっし)あり。伯達(はくだつ)、伯适(はくせき)、仲突(ちゅうとつ)、仲忽(ちゅうこつ)、叔夜(しゅくや)、叔夏(しゅくか)、季隨(きずい)、季(名不詳)なり。


現代語訳(逐語・一文ずつ)

  • 「八士あり」
     → 周の時代に八人の優れた士(人格・能力に優れた人々)がいた。
  • 「伯達、伯适、仲突、仲忽、叔夜、叔夏、季隨、季(名不詳)」
     → 彼らの名は、伯達・伯适・仲突・仲忽・叔夜・叔夏・季隨、そしてもう一人、名は伝わっていない。

用語解説

  • 八士(はっし):孔子が敬意をもって列挙した8人の優れた士人。個々の人物の事績は明記されていないが、人格・行動の模範とされる。
  • 伯・仲・叔・季:兄弟や同族内での年次序列を表す接頭語。
     - 伯=長兄、仲=次兄、叔=三男、季=末弟。
  • 達・适・突・忽・夜・夏・隨:それぞれ個人の名。最後の「季」は名が不明で伝わっていない。

全体の現代語訳(まとめ)

周の時代には「八士」と称される高潔な人々がいた。
彼らは伯達、伯适、仲突、仲忽、叔夜、叔夏、季隨、そしてもう一人、名は伝わっていないが「季」の名を冠する人物である。


解釈と現代的意義

この章句は、孔子が敬意を込めて「八士」を列挙することによって、歴史的に徳を重んじる人物たちを称え、記憶に留めるべき模範的存在として紹介したものです。

注目すべきは、彼らの具体的行動や言動が本文中に語られていない点です。これは、彼らが「名を列するだけで徳が伝わる存在」であることを示唆しており、無名の徳や静かな高潔を称える構造になっています。

ビジネスにおける解釈と適用

「歴史に名を残す“無言の模範者”たち」

  • 徳のある行動は、語らずとも伝わる
     → 社内外で静かに誠実に働く人、言葉より行動で信頼を積む人は、記録に残らずとも周囲に影響を与える。
  • 役職や知名度がなくても、人格が評価されるべき
     → 「名を知られずとも敬意を払われる人材」は、組織において最も安定的な影響力を持つ。
  • 多様な背景・世代の人々がそれぞれに価値を持つ
     → 伯・仲・叔・季という序列の記載は、兄弟的な関係性=社内での年次・役割の違いがあっても、それぞれに徳があることを意味する。

組織へのメッセージ

  • 真に尊敬される人物とは「静かに信頼され続ける者」であり、常に目立つ必要はない。
  • 高潔な姿勢と、職務に忠実な“生き様”こそが、次世代に受け継ぐべき人材モデルである。

まとめ

この章句は、「無名の高徳」と「静かなる模範」の価値を、歴史の中で語り継ぐ意義を説いています。
組織においても、目立たないが確かな信頼と貢献を積み上げる人の存在を、見逃してはならないという示唆があります。

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