目次
🔖 原文(日本語訳)
「つまらぬ快楽を捨てることによって、広大なる楽しみを見ることができるのであるなら、
心ある人は広大な楽しみをのぞんで、つまらぬ快楽を捨てよ。」
――『ダンマパダ』第2章「不放逸品」第30偈
📝 逐語訳
- つまらぬ快楽(アルパスッカ):目先の感覚的満足、すぐに消える浅い快感。
- 広大なる楽しみ(マハースッカ):精神的充足、悟り、心の深い平穏と安定。
- 心ある人(パンディート):知恵を持ち、真の幸福とは何かを識別できる者。
- 捨てよ(パハーヤ):自ら進んで手放すこと。禁欲ではなく「選択による放棄」。
🧩 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
快楽(スッカ) | 仏教においては「楽」には二種あり、肉体的・感覚的な短期的快楽と、精神的・真理的な深い楽がある。 |
小欲(アルパカーマ) | 一時的な欲望に基づいた行動・選択。 |
大楽(マハースッカ) | 長期的幸福、解脱に至る道における深い満足と安穏。 |
智慧ある人(パンディータ) | 感情に流されず、因果と結果の全体像を見通す人物。 |
🌐 全体の現代語訳(まとめ)
もしも目先のつまらない快楽を手放すことで、はるかに大きな幸福を得られるのであれば、
心ある者は、その小さな快楽を潔く捨てて、より広く深い楽しみに向かうべきである。
💡 解釈と現代的意義
この偈は、「一時の快楽か、長期的な幸福か」という人生の選択軸を明示しています。
- 目先の快楽(衝動的消費・娯楽・他者からの承認)は一時的な満足しか与えません。
- 一方で、自己成長、誠実な人間関係、善行の積み重ねは、心の安らぎと持続的幸福をもたらします。
- 「欲しいもの」よりも「本当に必要なもの」を選ぶ――それが智慧の実践です。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈・適用例 |
---|---|
意思決定 | 短期的な売上や評価を狙うあまり、本質的価値を損なう判断をしない。長期的信頼やブランド価値を優先する。 |
時間の使い方 | 表面的な会議・情報収集よりも、本質的な思考や深い関係構築に時間をかける。 |
人材育成 | 即戦力ではなく、時間をかけて育てた人材のほうが、組織の安定と継続的発展をもたらす。 |
誘惑と自律 | 甘い提案・誘惑的選択肢(例:無理な拡大・流行への過剰追従)を見極め、地に足のついた判断ができる組織文化を育てる。 |
✅ 心得まとめ
「その場の快感より、長く深い喜びを選べ。」
真の幸福は、軽い快楽ではなく、深い意義と調和に根ざした生き方の中にあります。
誘惑や衝動に惑わされず、長期視点で判断し行動することこそ、
静かに、しかし確実に自分と組織の人生を豊かにしていく道なのです。
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