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小欲を捨てて、大いなる歓喜を得よ


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■引用原文(『ダンマパダ』第二一章 第二九〇偈)

つまらぬ快楽を捨てることによって、広大なる楽しみを見ることができるのであるなら、心ある人は広大な楽しみをのぞんで、つまらぬ快楽を捨てよ。
――『ダンマパダ』 第二一章 第二九〇偈


■逐語訳(一文ずつ訳す)

  • 「つまらぬ快楽を捨てることによって」
     ――取るに足らぬ一時の感覚的な楽しみを断念することで、
  • 「広大なる楽しみを見ることができるのであるなら」
     ――それによってより大きく、深く、永続的な歓喜を得られるのであれば、
  • 「心ある人は広大な楽しみをのぞんで、つまらぬ快楽を捨てよ」
     ――賢明な者は真の幸福を選び、一時の快楽を捨てなさい。

■用語解説

  • つまらぬ快楽
     一時的・感覚的・物質的な満足。例:暴飲暴食、享楽、物欲など。瞬間的には快感をもたらすが、長続きせず、心の混乱を招くことがある。
  • 広大なる楽しみ
     精神的な安らぎ、心の自由、涅槃的幸福。短期的な満足ではなく、永続する静かな歓喜。
  • 心ある人(パンディータ)
     知恵ある者、分別ある人。感情や欲望に流されず、道理を理解して行動する人物。

■全体の現代語訳(まとめ)

もし一時の安易な快楽を捨てることで、永続する大いなる喜びを得られるのであれば、賢い人は後者を選び、前者を捨てるべきである――と釈尊は説いている。この偈は、目先の楽しみに流されることなく、真の幸福を見極めて選ぶ知恵の重要性を語っている。


■解釈と現代的意義

この偈は、快楽至上主義に対する仏教的な警鐘ともいえる内容です。
人はしばしば「楽そうだから」「気持ちいいから」と短絡的な選択をしてしまいがちですが、それによって本当に大切なこと――健康、信頼、成長、心の安定――を損なうこともあります。

「少しの我慢」の先に、「大きな満足」がある。この真理を知ることが、人間としての成熟につながるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
短期的欲求との決別目先の売上や評価より、長期的なブランド信頼や顧客満足を優先する戦略が持続的成長を生む。
セルフマネジメント怠惰や気晴らしに流されるのではなく、自律的な時間管理と集中によって大きな成果を得る姿勢。
採用・教育「すぐ使える人」よりも「長期的に伸びる人」を採用・育成する価値観。
意思決定と信頼「楽な道」ではなく、「信頼される道」を選ぶリーダーが、組織に深い信用と安定をもたらす。

■心得まとめ

「小欲を制する者、真の歓喜に至る」

一瞬の快感に流されるのは簡単だ。
だが、本当に価値あるものは、あえて困難を選び、節制を続けた者にのみ訪れる。
日々のビジネスでも、楽を選ぶのではなく、「将来に報いる選択」を積み重ねていくことこそが、真の成功と幸福への道である。


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