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心ほどける場所を持ち、穏やかに生きる

孔子は、公の場では厳格な師でありながら、家庭では自然体で穏やかだった。
私生活においては、のびやかでゆったりと、そしてにこやかに楽しんでいたと記されている。
これは、ただ気を抜いているのではなく、心に余裕があり、日々の実直な暮らしの中でこそ真の人格がにじみ出ていた証でもある。
心を張り詰めるだけでなく、緩めることもまた、人生の調和の一部だと教えてくれる姿である。


原文・ふりがな付き引用

子(し)の燕居(えんきょ)するや、申申如(しんしんじょ)たり、夭夭如(ようようじょ)たり。


注釈

  • 燕居(えんきょ) … 家に帰り、くつろぐ時間。公務から離れた私生活。
  • 申申如(しんしんじょ) … のびやかでゆったりとした様子。心身の緊張がほどけた状態。
  • 夭夭如(ようようじょ) … にこやかで、明るく楽しげな様子。穏やかな笑顔が自然にあふれるさま。

1. 原文

子之燕居、申申如也、夭夭如也。


2. 書き下し文

子(し)の燕居(えんきょ)するや、申申如(しんしんじょ)たり、夭夭如(ようようじょ)たり。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳)

  • 「子の燕居するや」
     → 孔子がくつろいで過ごしているときには、
  • 「申申如たり」
     → 落ち着いて穏やかで、にこやかな雰囲気であり、
  • 「夭夭如たり」
     → 柔らかく、ゆったりとした姿であった。

4. 用語解説

  • 燕居(えんきょ):公務ではなく私的に家で静かに過ごす時間。特に緊張を解いた状態のこと。
  • 申申如(しんしんじょ):「申申」は穏やかで落ち着いたさま、親しみのある雰囲気。
  • 夭夭如(ようようじょ):「夭夭」は柔らかくしなやか、優美で上品な様子を表す。もともとは植物の柔らかい枝葉のしなりを表現する語。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

孔子がくつろいでいる時は、とても落ち着いていて穏やかであり、柔らかく優雅な雰囲気を漂わせていた。


6. 解釈と現代的意義

この章句は、孔子という人物の**「日常の姿」や「人となり」を端的に伝える描写です。
公務や教育の場では威厳や厳格さがあった孔子ですが、私的な空間では
非常に穏やかで人間味あふれる柔らかさ**を持っていたことが分かります。

これは、人間的なバランスの取れたリーダー像を象徴しています。
“威厳”と“優しさ”の両立、あるいは“緊張”と“くつろぎ”の調和こそが、真に尊敬される人格に通じるといえるでしょう。


7. ビジネスにおける解釈と適用

■「リーダーの“私生活”こそ信頼を生む」

職場での振る舞いだけでなく、普段の態度や私的時間での振る舞いも、部下はしっかり見ている。
穏やかで寛容な人柄は、リーダーへの親近感と信頼を深める。

■「威圧でなく、柔らかさで包む統率」

厳しさ一辺倒ではなく、くつろぎと安心感を与える存在感が、チームの心理的安全性を高める。

■「表情と佇まいが“文化”をつくる」

にこやかで、しなやかに構えるトップの姿勢が、社内全体の雰囲気を和らげ、協調と尊重の文化を醸成する。


8. ビジネス用心得タイトル

「穏やかで、柔らかく──私的姿に現れる“人望力”」


この章句は、ハードなスキルや知識ではなく、人としての雰囲気・品格・親しみやすさに焦点を当てており、
“人間関係資本”を築くリーダーシップの本質を教えてくれます。

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