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善は時を超えて心を照らす


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■引用原文(日本語訳)

三七
善いことをしたならば、ひとは喜ぶ。
ずっと昔にしたことであっても、遠いところでしたことであっても、ひとは喜ぶ。
人に知られずにしたことであっても、ひとは喜ぶ。
幸あるところ(=天の世界)におもむいて、さらに喜ぶ。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 善いことをしたならば、ひとは喜ぶ:正しい行いは、行った当人の心に深い喜びをもたらす。
  • 昔・遠方・秘密でも:時と場所、他人の評価に関係なく、内面的な喜びは変わらず存在する。
  • 幸あるところ(天界)へ赴いて喜ぶ:善行は死後に天界(神々の世界)への生を導き、さらなる幸福へと至る。

■用語解説

  • 善いこと(善行):道徳的に正しく、利他性と誠実さを持った行為。
  • 喜ぶ(プラモーダ):瞬間的な嬉しさではなく、深い満足感と心の穏やかさを含む。
  • 幸あるところ(天界):仏教における六道のうちの「天道」。善業によって生まれる、安楽な世界。

■全体の現代語訳(まとめ)

善い行いをした人は、どんなにそれが昔のことでも、遠くで起こったことでも、
また誰にも知られていないことだったとしても、
その行為を思い出したとき、心から喜びを感じる。
その善業は死後においても果報を生み、
天界などの幸ある世界に生まれて、さらに大きな喜びを得ることになる。


■解釈と現代的意義

この偈は、「善行の報いは、時間や状況を超えて本人の心に影響を与える」という深い心理的・霊的洞察を語っています。
現代では「評価される善」や「他者に可視化された貢献」が重視される傾向がありますが、
この教えはそれに対して「誰に見られていなくても、善は自分の心を浄める」という本質を示します。
また、善き行いが死後にまで続く幸福をもたらすという思想は、人生観・死生観・倫理観の統合につながります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
内発的動機づけ自らの信念に基づいて正しいことをする人は、誰に評価されなくとも満たされる。
隠れた貢献の尊重組織において可視化されにくい善行(裏方の努力や小さな気配り)こそ、実は信頼と満足感の源。
持続可能な幸福善行による内面の満足は、過去から現在、さらには未来へと「幸福の連鎖」を生む。
組織倫理「誰かが見ていないとできない」ではなく、「誰にも見られなくとも正しくする」文化が、長期的に健全な経営を支える。

■心得まとめ

「誰にも見られずとも、善は心の喜びとなる」
その行いが、
どんなに昔のものであっても、
どこで為されたものであっても、
誰にも知られていないものであっても――
それが善であれば、
人の心は必ず喜びに満たされる。
そしてその善き力は、
やがて天へと至り、さらなる幸福をもたらすだろう。
だからこそ、善は惜しまず積み重ねよ。
その果報は、確かにあなたの人生を照らす。


この偈は「自己承認・ポジティブ心理」「職場のサンクスレス貢献」などの観点からも活用でき、
人材開発・組織文化改革・倫理研修などにも有用です。

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