現代の経営において、トップの役割と決断の重要性が再評価されています。
特に目標設定における「ワンマン決定」の必要性が強調される一方で、その意味するところが誤解されるケースも見受けられます。
この記事では、「ワンマン決定」と「ワンマン・コントロール」の違い、そしてトップと部下の間での意見交換のあり方について深掘りします。
- 目標はワンマン決定しなければいけない
- 部下に聞くべきことは、目標達成のための具体策
- ワンマン決定とワンマン・コントロールの違い
- 決定はワンマン、実施は任せる
効果的なリーダーシップとは何か、経営の現場での決断がいかに組織の成長や生存に影響を与えるかを、具体的事例を交えて解明していきます。
目標はワンマン決定でなければならない
目標は、トップのワンマン決定でなければいけません。
もともと、目標は客観情勢に基づき、それにトップの意図が上のせされたものです。
ところで、客観情勢についていちばんよく知っているのはトップで、下にゆくほど感じとっていないものです。客観情勢に基づいて設定する目標を、現在のリアルな客観情勢を部下にきいて反映させてはいけません。
病気の治療法を素人にきくようなものです。だいいち、部下に相談しなければ、決定のできないようなトップや幹部こそ大問題です。退任した方がマシです。
部下にきかなければならないのは、目標達成のための具体策です。
目標の決定と、決定を実施するための具体策の相談とを混同してはいけない。
「長」という呼称は、決定する人につけられたものである。だから、「長」という呼称のついた人は、「自らの責任において、決定を行う」のだ。
「ワンマン決定」こそ決定の大原則であって、この原則が破られたときに、組織は崩壊してしまうのである。
むろん、ワンマン決定とはいえ、その前に部下の意見をきくことはよい。会議で検討するのもよい。
しかし、最後の決定は、あくまでもワンマンの意志によって決定されるのだ。
ところが、従来のマネジメント論は、部下の意見のとりまとめ役が「長」であるかのごとき印象を与えるものが多すぎる。
その論拠は「人間関係」なのだ。部下の意志を無視してはいけないというのだ。
部下の意志を尊重するあまり、お客を忘れ、客観情勢から目をそらせても、それはいたしかたないというのであろうか。ここにも本末顚倒がある。
というよりは「本末」を知らないのだ。ここで、お断りしておきたいことがある。
それは、「ワンマン決定」と「ワンマン・コントロール」は違うということである。
ワンマン決定=ワンマンの責任において決定する
ワンマン・コントロール=何もかも一人できり回す
「ワンマン決定」というのは、「ワンマンの責任において決定する」ということであり、「ワンマン・コントロール」というのは、「何もかも一人できり回す」ことなのだ。
決定はワンマン、実施は任せる、これが本当のトップである。
まとめ
企業の目標設定は、トップによるワンマン決定が必要であり、それは組織の健全性を保つ大原則である。トップは客観情勢を最も理解している人物であり、その意思決定は組織の方向性を決めるもの。
しかし、ワンマン決定は実行に移す際の具体策を部下から求める場面と混同されてはならない。
トップが全てを一人で管理する「ワンマン・コントロール」とは異なり、決定はトップが、実施は部下が担うべきである。
部下の意見を尊重しつつも、最終的な決断はトップの責任でなされるべきだ。これが効果的なリーダーシップの本質である。
コメント