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目標の領域⑧!目標は必ず明文化すべし

現代のビジネス環境は、ますます複雑化し、競争が激化しています。企業は、目標達成や成功に向けて正確な指針が不可欠です。そのために、目標の明文化がますます重要となっています。

目標の明文化とは、組織内外で共有される具体的で明確な目標や戦略を文書化するプロセスです。これにより、組織全体が同じ方向に向かい、統一感を持ち、課題を解決し、成功に向かって進むことができます。

口頭でのコミュニケーションは有用ですが、情報の不確実性や誤解のリスクが常に伴います。しかし、明文化された目標は、誰もがアクセスし理解できる形で情報を提供し、ミスコミュニケーションを減少させます。

また、目標の明文化は、組織の一貫性を高め、優先順位を設定し、リソースの効果的な割り当てを支援します。これは、戦略的な判断を行う際に不可欠です。経営陣から従業員までが同じ情報を共有し、共通の目標に向かって行動することは、組織の成功に欠かせません。

この記事では、目標の明文化がビジネスに及ぼす重要性を実例を交えて説明します。明文化された目標は、企業が変化する環境に適応し、成長するための戦略を策定し、組織全体を統一させるための強力なツールであることを示します。明文化された目標を設定し、達成に向けて組織を結集させることで、競争力のある未来を築く手助けをします。

目次

目標は必ず明文化すべし

第一話……「目標を明文化する必要なんかありませんよ。私は機会あるごとに話してきかせていますから。みんなよく承知していますよ」という社長さんがあった。

そこで、社内の人びとに、社長の考えをきいてみると、「社長は何を考えているのかさっぱりわかりません。そのたびに、いろいろのことをいわれますが、さっぱり一貫性がありません」という答えであった。

これは、ある会社を調査したときの一コマ。

第二話……S社の重役は社長以下四人で、しかも実の兄弟である。

その会社で目標の明文化はできているかどうか質問したところ、そのうちの一人が、「そんな必要は、ぜんぜんありませんよ。われわれは一つ腹から生まれ、一つ釜のメシを食って大きくなった。いまもこうして、一つの会社で毎日顔を合わせている。ツーといえばカーですよ」という返事である。

それにはさからわずに、「皆様がたはいいとして、部長以下にはそうはいかないでしょう。誤りなく皆様がたの意図を伝えるために明文化しましょう」というと、もっともだ、ということになり、明文化することになった。

そこで、その「考え」なるものを、一人ずついってもらって、要点を黒板に書いていった。

すると、「おまえは、そんなことを考えていたのか」「いや、おれの考えは違う」ということになってしまった。

第三話……O社で、短期経営計画の樹立のお手伝いをしたときのことである。それが終わったときに、社長はつぎのような感想を筆者に語った。

「短期経営計画をたてる段階で、実にいろいろなことを学んだ。その中で最も思いがけないことは、社内の意志伝達が、トップ層の間でさえ、こんなにもできていなかったのか、ということの発見である。

営業部長が、あんなことを考えていようとは、私は思ってもみなかったし、専務は、私の意図をよく理解していない点がたくさんあることを発見した。

毎日顔を合わせていながらこれである。まったく意志伝達とはむずかしいものだ。会社の中が、私の意図どおり動いていないのはあたりまえなのだ。

それにしても、今度はトップ層の意志統一が本当にできた。これは本当によかった。そしてまた、社内に私の考えを伝達し、徹底させることに自信がもてたような気がする」

口頭による意志伝達の危険性

口頭による意志伝達とは、このようにむずかしいのだ。

コミュニケーションの専門家や人間関係論者は、口を開きさえすれば、「上下の話合いをせよ」という。

しかし、話合ったから必ずうまくいくものではない。

口頭で話合うと、上司が何気なくいったことも、それが相手の関心事や得意な分野であると、それが上司の方針である、あるいは重視している、というような受け取り方をされる危険が常にある。

人間とはそのようなものなのである。これが、部下を誤った行動にかりたてることになる。

また、人間は何か難問に取り組んでいたり、悩み事があれば、上司のいうことを話合っているときはきいていても、話合いがすめば心の隅に押しやってしまうかもしれない。

人によって、重要な事柄についての見解も違えば、ウエイトづけも同じとはかぎらない。何よりも困ることは、上司の要求は驚くほど一貫性に欠けていることである。

あるときは強調しながら、あるときはあまり重要でないようなことをいう。

言葉というものは、その場だけで消えてしまうものだけに、何か事が起こったときに、いった、いわないの水かけ論になる。

だから、毎日いっているからとか、毎日会って話合っているといっても、なかなか誤りない意志伝達はできず、したがって意志統一ができないのである。

明文化が必須

明文化をすると、そのときには当然のこととして、用語の定義づけをきめたり、解釈について論議されることになる。

目標が数量化されれば、具体的に意志が表現され、数字と数字との間の相関関係やバランスが検討されるだけでなく、それの達成を困難にする制限条件や障害が明らかにされる。

優先順位の決定によって、ウエイトづけや緩急の度合いが明確に示されることになる。

このようにして、いままで頭の中にあったことが具体的になり、整理されてゆく、この効果は、われわれが考えているよりも、はるかに大きいのだ。

われわれは、明文化の効果について、過小評価しすぎるという誤りをおかしているのである。

目標・方針は、会社の方向づけをするものであり、会社の中のすべての人びとの行動は、ここから出発し、ここに帰ってくるべきである。全社の活動を基本的にきめてしまう目標・方針を明文化しないという法はない。

筆者は、明文化しないものは、目標でもなければ方針でもない、という考えをもっている。明文化によって、はじめてトップの意志が基本的に誤りなく社内に浸透する。

これこそ最も重要なコミュニケーションなのである。明文化なきコミュニケーションは、空回りや混乱をひき起こすだけなのである。

まとめ

明文化された目標や方針は、組織内のコミュニケーションと意志統一において極めて重要です。これは、以下のエピソードからも明らかです。

第一話では、ある社長が口頭で目標を伝えることを好むと述べていますが、社内の従業員たちはその内容に一貫性を見出せず、混乱していました。口頭でのコミュニケーションだけでは、情報の正確性や一貫性を確保するのが難しいことが示されています。

第二話では、兄弟で経営する会社の場面が描かれており、口頭でのコミュニケーションが不十分であることが明らかにされています。この場面では、兄弟間での意思疎通が不足しており、明文化された目標が必要であることが強調されています。

第三話では、短期経営計画を策定する際に、トップ層同士でもコミュニケーションの誤解が生じることが示されています。口頭でのコミュニケーションだけでは、情報伝達が十分に行われないことが分かりました。しかし、明文化された目標を通じて、トップ層の意志統一が実現できたことが強調されています。

明文化された目標や方針は、言葉だけのコミュニケーションよりも具体的で一貫性があり、誤解や混乱を防ぎ、組織内の人々に明確な指針を提供します。

また、明文化によって、目標の優先順位や制約条件が明確になり、組織全体の活動が効果的に調整されます。

つまり、目標や方針の明文化は、組織内の意志統一と効果的なコミュニケーションの実現に不可欠であり、組織の成功に向けた基盤となると言えます。

口頭だけでなく、明確な文書として表現された目標が、組織全体に方向性と目指すべき道を示す重要なツールであることを肝に銘じるべきです。

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