■ 引用原文(日本語訳)
たとい他人にとっていかに大事であろうとも、
(自分ではない)他人の目的のために自分のつとめをすて去ってはならぬ。
自分の最高の目的を知って、自分のつとめに専念せよ。
――『ダンマパダ』あるいは関連教典より(一〇*)
■ 逐語訳と用語解説
- 他人にとっていかに大事であろうとも:他者にとって重要に見えることや、世間的な価値・名声・流行。
- 他人の目的のために:自分の人生の中心ではない、他人の期待や願望、組織の都合など。
- 自分のつとめをすて去ってはならぬ:自己の天職・使命・本分を放棄することへの戒め。
- 最高の目的(パラマ・アルタ):魂の究極の目的、真理に基づく人生の意味。
- 専念せよ:他に気を取られず、ひたすらに集中せよ。
■ 全体の現代語訳(まとめ)
「どれだけ他人にとって重要そうに見えても、自分ではない誰かの目的のために、自分の本来の使命を放棄してはならない。
自分にとっての最高の目標を知り、その達成に向けて、自らの責務を全うせよ。」
これは、「ブレない生き方」や「使命感に基づいた選択の大切さ」を説いています。
■ 解釈と現代的意義
この章句は、**「本当の責任とは、他人の期待に応えることではなく、自分の使命に応えること」**だと教えています。
現代においては、他人の成功・他人の意見・他人の期待に引っ張られ、自分の道を見失うことがしばしばあります。
しかし、自己の人生は、自己が責任を持って進むべき唯一無二の道であり、どれだけ他人が重要そうに見えても、その人の目的に自分を明け渡してはいけない――という仏教的な自律の思想がここにあります。
■ ビジネスにおける解釈と適用
領域 | 適用例 |
---|---|
キャリア選択 | 周囲の評価や親の希望より、自分の本当にやりたいこと・得意なことを基軸にすべき。 |
プロジェクト推進 | 多数の要望に振り回されず、ミッションの中核に忠実であることが成功の鍵。 |
起業・経営判断 | 他人の事業モデルを模倣するのではなく、自社の存在意義に即した戦略を取るべき。 |
ワークライフバランス | 他者に合わせすぎて自己を犠牲にするのではなく、心身と人生の目的のバランスを取る視点を持つ。 |
■ 感興のことば(心得まとめ)
「他人の光にまどわされるな。己の灯を燃やし続けよ」
人の目的は人のものであり、
あなたのつとめはあなたにしか果たせない。
その使命を知り、全うする人生こそ、
後悔なく力強い人生である。
この章句は、「自己実現」「使命感」「選択の軸」に迷いを感じる人にとって、深い指針となる言葉です。
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