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損なわず、与えて去る――聖者の歩みは蜜蜂のように


■ 引用(出典)

八*
蜜蜂は(花の)色香を害わずに、汁をとって、花から飛び去る。
聖者が、村のなかを行くときは、そのようにせよ。
(『ダンマパダ』第18章 第8偈)


■ 逐語訳

  • 蜜蜂は、花の色や香りを損なうことなく、
  • その中の甘い蜜(汁)だけをいただき、
  • そっと花から離れて飛び去っていく。
  • 聖者(修行者)もまた、村を訪れるときには、同じように歩むべきである。

■ 用語解説

用語解説
蜜蜂知恵ある者、慎み深く生きる人、または理想的な行動の象徴。
花の色香を害わずに相手の尊厳や本質を傷つけずに関わる態度。
汁(蜜)をとる必要な分のみ、慎ましく得ること。過度な搾取ではない。
聖者が村を行くとき社会や人々との関わり方全般を象徴する。

■ 全体現代語訳(まとめ)

蜜蜂は、花の美しさや香りを損ねることなく、その甘さだけを静かに受け取って去る。
それと同じように、真理を歩む者は、関わる人や場所を傷つけず、奪いすぎず、感謝と敬意をもって立ち去るべきである。真の修行者とは、触れるものに対して「痕を残さず、恩を残す」ような存在である。


■ 解釈と現代的意義

この偈は、「関わりながらも相手を損なわない」という成熟した関係性の在り方を説いています。私たちはつい、利便や効率、感情の衝動によって他者や環境を「消費」してしまいがちです。しかし、真に智慧ある人とは、場や人から必要な学びや経験をいただきつつも、その人や環境を尊重し、清々しく立ち去る人です。これは人間関係・仕事・自然との関係すべてにおいて、普遍的に適用できる美徳です。


■ ビジネスにおける解釈と適用

観点応用の仕方
持続可能な関係性取引先や顧客から得るばかりではなく、関係を尊重し、健全な形で価値を残すこと。
職場でのふるまいプロジェクトに関わる際も、チームの雰囲気や文化を壊さず、貢献し、静かに次へ向かう姿勢が信頼を呼ぶ。
転職・異動・卒業の美学去るときこそが、その人の真価が表れる。「きれいに去る」ことが、次の縁を呼ぶ。
自然との関わり開発やビジネスで自然資源を用いる場合も、「壊さずに、活かし、再生する」発想がこれに通じる。

■ ビジネス心得タイトル

「触れて、残さず、輝きを保て」
――得ることに夢中になるな。
関わる相手や環境を損なうことなく、敬意をもって接し、軽やかに去る者こそ、真に成熟した働き人である。蜜蜂のように、そっと香りを残して次の花へと向かえ。


この第八偈は、「優しい影響力」の極意を教えてくれます。社会や人間関係で疲弊しやすい現代だからこそ、この教えはひときわ輝きを放っています。

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