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簿記の勘定科目:「固定資産売却益」の基礎知識

「固定資産売却益」とは、企業が所有する固定資産を売却した際、売却額が帳簿価額を上回った場合に発生する利益を記録するための勘定科目です。この利益は、損益計算書の「営業外収益」または「特別利益」に分類されることが一般的です。


固定資産売却益とは?

固定資産売却益は、売却した固定資産の売却価額が、その帳簿価額および売却費用を合計した金額を上回る場合に計上されます。

計算式:

固定資産売却益 = 売却価額 - (帳簿価額 + 売却費用)

固定資産売却益が発生する具体例

  1. 不要な機械の売却
  • 製造工程の変更などにより不要になった機械を売却。
  1. 土地の売却
  • 資産運用や事業計画の変更に伴う土地の売却。
  1. 建物の売却
  • オフィスや工場の移転に伴う建物の売却。

固定資産売却益の会計処理

  1. 固定資産売却益が発生した場合の仕訳 例:帳簿価額50万円の機械を60万円で売却し、売却費用が2万円かかった場合
  • 売却価額:60万円
  • 帳簿価額:50万円
  • 売却費用:2万円
  • 売却益:8万円(60万円 – 50万円 – 2万円) 仕訳:
   借方:現金 600,000円  
   借方:固定資産売却損益 20,000円  
   貸方:固定資産 500,000円  
   貸方:固定資産売却益 80,000円
  1. 売却損が発生した場合の仕訳 例:帳簿価額50万円の土地を40万円で売却した場合(売却費用なし)
  • 売却損:10万円(40万円 – 50万円) 仕訳:
   借方:現金 400,000円  
   借方:固定資産売却損 100,000円  
   貸方:土地 500,000円
  1. 完全に償却済みの固定資産の売却 例:帳簿価額0円の備品を1万円で売却した場合
   借方:現金 10,000円  
   貸方:固定資産売却益 10,000円

税務上の取り扱い

  1. 課税対象
    固定資産売却益は、法人税法上、課税所得に含まれます。売却益を正確に計上する必要があります。
  2. 消費税の取り扱い
    固定資産の売却は、消費税の課税対象となる場合があります。課税対象かどうかは、売却する資産の種類によります。
  • 課税対象:事務機器、機械、備品など。
  • 非課税:土地の売却。
  1. 減価償却累計額の影響
    帳簿価額は、取得原価から減価償却累計額を差し引いた金額で計算されます。

固定資産売却益の注意点

  1. 帳簿価額の正確性
    固定資産の帳簿価額を正確に計算する必要があります。減価償却の計算が正しく行われているか確認します。
  2. 消費税の区分に注意
    売却する資産が課税対象か非課税対象かを確認し、消費税額を適切に処理します。
  3. 売却費用の記録
    売却に伴う手数料や諸経費は、売却益の計算に含めます。
  4. 税務申告への影響
    固定資産売却益は課税所得に含まれるため、税務申告で正確に反映させる必要があります。

固定資産売却益の管理方法

  1. 固定資産台帳の整備
    固定資産の取得価額、減価償却累計額、帳簿価額を記録し、常に最新の状態に保ちます。
  2. 売却計画の事前検討
    売却時期や方法を事前に計画し、税務上の影響やキャッシュフローへの影響を最小限に抑えます。
  3. 税理士との連携
    売却益の計上方法や消費税の取り扱いについて、税理士に相談して適切に処理します。
  4. 売却費用の管理
    売却にかかった手数料や諸費用を記録し、売却益の計算に漏れがないようにします。

まとめ

「固定資産売却益」は、企業の財務状況や税務申告において重要な項目です。適切な会計処理を行うことで、売却益の正確な計上と税務リスクの軽減が可能です。また、帳簿価額や売却費用の正確な記録が、透明性の高い財務管理につながります。


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