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執着なき心こそ、煩悩からの解放


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📜 引用原文(日本語訳)

それ故に愛する人をつくるな。
愛する人を失うのはわざわいである。
愛する人も憎む人もいない人々には、わずらいの絆が存在しない。

—『ダンマパダ』第16章「愛するもの」第211偈


🔍 逐語訳

  • それ故に愛する人をつくるな:前節の通り、愛や憎しみによって苦しみが生じるため、それらを生み出す対象を心に宿してはならない。
  • 愛する人を失うのはわざわいである:愛する存在を失うことが、深い悲しみや絶望をもたらす。
  • 愛する人も憎む人もいない人々には:好悪の対象を持たない、心の平等を得た人々には、
  • わずらいの絆が存在しない:煩悩に縛られる苦しみや不安が存在しない。

🧩 用語解説

  • 愛する人(piya):個人的な執着や愛情を抱く対象。
  • 憎む人(dosa):嫌悪や敵意を向ける対象。
  • わずらいの絆(soka-bandhana):悲しみ・不安・苦悩などを引き起こす、心の執着や感情の連鎖。
  • 存在しない(na santi):まったく起こらない、解放された状態。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

愛する人を持つことは、その人を失う苦しみの種を心に植えることでもある。
好悪の感情に縛られた生き方をしている限り、心は常に煩悩の影響を受ける。
しかし、愛する人も憎む人もいない、心の平等を実践している者には、そのような「わずらいの絆」は存在しない。完全な自由と平穏がそこにある。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、仏教的な「愛」と「無執着」の違いを明確に示しています。
愛情を持つこと自体が問題なのではなく、愛情に執着し、それによって心が乱されることが「苦」を生みます。
好悪に左右されない心、すなわち“平等心(ウペッカー)”を育むことが、現代においても精神の安定と自由をもたらす最善の方法といえるでしょう。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用例
✅ 感情のマネジメント特定の人物や立場に過剰な愛着や嫌悪を抱くと、公平な判断ができなくなる。感情に距離を置く習慣が重要。
⚖️ リーダーの資質公平に人を見るリーダーは、組織内の信頼を獲得できる。誰かを特別に愛したり嫌ったりしないことが、安定を生む。
🧘 メンタルヘルス人間関係における苦しみの多くは、期待・執着・失望の連鎖から生まれる。手放すことで自他共に健やかになれる。
💬 対人調整力好き嫌いではなく、目的や価値に基づいて協働できる力が、高い職業倫理を支える。

🔑 心得まとめ

「愛にも憎しみにもとらわれない者だけが、真の自由を得る」

愛する人を持つということは、同時にその人を失うリスクや、望みが満たされない苦しみを抱えることでもあります。
ビジネスの現場においても、好き嫌いや感情的な執着に基づいた行動は、長期的に見て必ず混乱や不均衡を生みます。
誰に対しても公平であり、結果や人に過剰に期待しない姿勢こそが、成熟と信頼の礎となるのです。


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